2017 / 04
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あなたの手、とっても大きいのね。
男の人だから当たり前なんだけれど。
それがとても安心するの。
その温もりが、私をあなたへ誘うの。

私の手をそっと握ってくれる時「愛している」と伝わるの。
自分自身を見失った時、
不安に駆られて叫びたくなった時
自暴自棄になった時
あなたのぬくもりをこの手に思い出すの。
そうすると・・・不安や恐れが不思議と
すっと消えて自分自身を取り戻すことが出来るの。

本当に不思議ねって、いつかあなたに言ったわ。
「僕もだよ、同じだね」って
微笑みながら私の頬を撫でてくれたあなたの手は温かかった。

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『健やかな時も病める時も彼女を愛し、彼女を助け、
 生涯変わることなく 愛し続けることを 皆様方の前に誓います
私たちはこれからふたりで力を合わせて温かく幸せな家庭を築いていくことを誓います』

梅雨の中休みのように雲ひとつ無い晴れ渡ったあの日、貴方は誓ってくれた。
神の前で、列席者の前で・・・・
ううん、それよりもなによりも私に誓ってくれたのよね?
あれから・・・・何年経ったのかしら?
貴方と出逢って私は本当に幸せだった、そして楽しかった。
幾多の苦しい事、悲しい事を2人で乗り越えて行ったわ。

子どもにも恵まれて、私を母として生きさせてくれた
それも私にとって最大の喜びだった。
貴方もそうでしょう?
ふふふっ、覚えている?最初の子が生まれた時
「こんなにかわいらしい子は見た事が無い、父親にしてくれてありがとう・・・」
泣きながら私に、子どもに何度も口付けてくれたわ。


私の方こそ貴方にお礼を言いたいわ。
感謝してもしきれないくらいなの。
だから・・・・泣かないで。
お願い、貴方が泣くなんて・・・・。
いつも私を力強く守ってくれて何事にも怯まず突き進んで来た貴方が・・・・。

「ありがとう、本当に幸せだったわ・・・・
天に召されたらきっと私、あの日・・・貴方が誓ってくれた言葉を
『変わることなく 愛し続けること』と本当に神の御前で誓うわ・・・
先に逝くけれど・・・・待っているわね。愛しているわ・・・・貴方・・・・・・・・・」



君は天に召された・・・・。
誓いの言葉を立てたあの日と同じ雲ひとつ無い晴れた日、
私は永遠の伴侶を想い呟いた。

「ありがとう・・・・そして愛してるいるよ・・・・・」と。

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只今あたし、北山広子、苦手なお菓子作りをしている。
いつもはなけなしのお小遣いの中からどうにか捻出して
ショッピングセンター内のバレンタインコーナーで
よーく、吟味して『コレ!!』というものを買っていた。
それで友チョコのドサクサにまぎれて本命チョコも渡していた。

でも今年は・・・・
ユウキの視線やアプローチがやたら強烈でぇぇぇ。
友チョコは女子だけにあげる。
男子にはユウキだけにあげる。
それがあたしの本命チョコ。

「北山―!東野先輩は手作りチョコ貰うんだって!」
「ふ~~ん、あぁ、愛ちゃんは家庭科全般得意だからね~
大人系の甘くないフォンダンショコラ作るんだって」
「へぇ~いいな~」
「そうだよね~あたしも愛ちゃんの作ったの食べてみたいvv」
「・・・・おいっ!なんでそうなるんだよ?
お前もそれくらい作れるんじゃね?」
「何言っているのよ!すっごく難しいんだよ~
あたしには絶対に無理だよ」
「お前さ~『無理!』って思う前に俺のために挑戦しようとする気持ちは起こらないのかよ?」
「ごめん・・・起こらない」
「なんだよ、それ・・・じゃぁ、バレンタインはスルーするつもりっだのか?」
「いや、それはないけれど・・・友チョコと同じ感じで本命チョコも・・・(ごにょごにょ)」
「クラスの男子への友チョコは絶対禁止!!!女子への友チョコも100歩譲ってやる!!
俺への愛情が本当なら手作りチョコをくれっ!!」
「えぇぇぇぇ~~~そんな~~~~」

というような一連の会話が約1週間前にあって現在に至っているわけで。
愛ちゃん曰く「チョコレー作りなんて簡単よ♪」。
ウソです。マジ、タイヘンです。
一定の温度を保っていなくちゃいけないし
ちょっと油断していたら砂糖が入っているからあっと言う間に焦げ付いちゃうし
材料を多めに用意しておいたけれど何故か足りなくなっているし
嗚呼、あたしきっと渡す時までにチョコレートの海で溺れてしまいそう。

もうこうなったらラッピングで誤魔化すしかない!?
でもユウキへの本気度が見てくれだけ!と解釈されてもかなり凹む。
だからといって・・・中身で、味で勝負するほど期待は出来ませぬ。
自ら作っていながら出来上がりとユウキの反応がもの凄く怖い。



【作り始めて十数時間後】

出来た・・・・・と思う。
ラッピングからもれてしまったかなり酷い失敗作を弟に試食してもらって・・・・
「まぁ、トリュフチョコをイメージして食べたらそれっぽいよ!」というお褒めの言葉頂き
我ながら大きな溜息を一つ。
悲観的な想いを募らせながらも、
出来上がったトリュフチョコはお世辞にも綺麗な出来栄えじゃない。
とてもいびつな形・・・・。

土曜日とはいえ午前中は体育館にてトレーニングがある。
彼とは自宅へ届けに行くと前日約束した。
自宅には雄輝のお母さんしかいなくて・・・。
それもあたしがお邪魔したら入れ替わりに留守番まで頼んで
華絵先輩とお出掛けされてしまった。
ラッピングされた手作りトリュフチョコを前に暫し雄輝の帰りを待つあたし。
階下の玄関がガチャリと開く音がして階段を軽やかに上がる音した。
おもむろに雄輝の部屋の扉が開く。

「あれっ?もう来てたんだ」
「うん、来てた・・・」
「北山、昼メシは?」
「家で食べてきた、ユウキは?」
「俺はこれからだけど、下でテキトーに食ってくるから待っていて」
「うん、仕度手伝う?」
「いいよ、多分お袋が用意してくれているはずだから・・・
そこの雑誌でも見て待っていてくれ」
ジャージ姿のユウキは着替えを持って階下へ行ってしまった。

嗚呼、何故か息が詰まる~~~。
嗚呼、今更ながら緊張する~~~。
嗚呼、このいびつなチョコに幻滅されてしまう~~~。
未だかつてないほど悲観的なあたしが部屋に取り残された。

暫くしてユウキが部屋に戻って来た。
あたしの横に座った。
「お待たせ、昼メシとシャワー済ませてきたよ」
「うぅん・・・そうなんだ」
「雑誌見てた?」
「うん、でもよくわからないや、男子の好みは・・・」
「そうかな・・・」
「うん、わからない」

本日の最大の目的をわかっているだけにお互い言葉が出てこない。
いつも自信満々の彼でさえ何故か挙動不審だし。
あたしの手の中にあるチョコが体温が伝わって溶けてしまわないうちに渡さなければ・・・
と、思った矢先、ふと雄輝のスポーツバッグのファスナーの縁にグリーンのリボンが見えた。
思わずそれに手を伸ばしてみて・・・それは明らかにバレンタインチョコだった。

「これ、何?」
「あぁ、今日部活の女子からのヤツ」
「友チョコだよね?」
「知らねぇ、多分そうじゃねぇの?全然興味ないし」
「まだ、バッグに入っているじゃん!!
あたしには本命チョコはユウキだけ!って言っておきながら
自分は本命チョコのつもりでくれた女子のは貰うんだ~~!?」
「だから、そんなの知らねぇし、俺には関係ないから!」
「もういいっ!あたしのは全然上手じゃないし、形もいびつだし、
慣れていないから材料も足りなくなっちゃって予定通りにならなかったし・・・」

もうあたしは支離滅裂なことを言い放ち、
何でこんなことで涙がぽろぽろ流れるのかわからなく半ばパニックを起こし
手作りチョコのプレッシャーからのストレスを雄輝にぶつけた。
あたしが喚き散らしている間に雄輝はラッピングをサクサクと開けてしまい
箱の大きさよりチョコの量が少なすぎるのを凝視している。
嗚呼、もうお終いだわ~~~。
嗚呼、不器用さ加減に呆れているよ~~~。
嗚呼、ユウキへの本気度を計られているよ~~~。

あたしの脳内はそんな考えがグゥルグゥル廻っているのをよそに雄輝は「クスリ」と笑い
長い指で摘み自分の口に一つ放り込んだ。
そしてまだ口をパクパクさせながらよくわからないことを言っているあたしの口の中にも一つ。
ココアパウダーの苦味に一瞬止まったあたしに雄輝は言った。

「形は良いんだよ、でも美味いよ?」
「う・・・・ん、そうかな・・・?」
「美味いよ、こんなに丁寧に作ってくれたんだもんな、北山の愛情感じる
どんなに見栄えよく作られたチョコよりずっと美味いよ!」
「そ、そうかな?でも、最初の予定より半分の量になっちゃたし・・・」
「そんなこと気しないよ、それでも気になるならこうしたら大丈夫だよ?」

そう言った雄輝は素早くあたしの顎に手をやり唇を寄せた。
そして口の中にまだ残っているチョコをあたしに口移しした。
あたしの口内には二つの溶けかかったチョコがあって・・・・。
「これで一つのチョコになっただろう?俺にもそうしてくれる?」と耳元で囁いた。
頷いてあたしは耳まで真っ赤になって残り二つとなった一つを口に入れ
雄輝がもう一つを口に入れたのを確認して彼の頬に手を添えて同じようにした。
彼の口内になくなっても、香りをも味わうようにいつまでもお互いのそれを合わせたままでいた。
雄輝は両手をあたしの身体に回し、優しく抱き寄せた。
右手で耳の後ろの髪を梳きながらもっとお互いが密着するように
背中に添えられている左手に力を込めた。


「来年は、もっと上手に作るね!」と言ったあたし。
「来年も、これで良いよ、だってこうして北山のチョコ味の唇も味わえるから」と言った雄輝。
雄輝の言葉はあたしのチョコ作りの上達を阻むこととなった。


presented by 地球の名言

紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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