2009 / 11
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アルコールの海を漂っているような・・・そんな感覚。
昨夜無茶な飲み方をしたのが祟ったのか。
いや、こんな風になったのはここ最近のことではない。

この部屋が真東に向いているのは昨夜のうちはわからなかった。
しかし今はまともに己の身体全体を照らしている。
否応なしに己を覚醒させる。

見慣れない天井・・・。
・・・・・・・・違うな。
豪奢な寝台に付いている天蓋だと認識できるまでそう時間は掛からなかった。
自分の身体に纏わり付く金髪を払いのけて上半身だけ起こす。
急に起き上がったためか軽く眩暈がする。
左隣にいまだ惰眠を貪っている者を冷たい目で見下ろす。
そのうち気配感じてその者も覚醒する。

「おはよ・・・目が覚めたの?」
「ああ・・・」
「昨日はそうとう酔っていたけれど・・・覚えている?」
「・・・・・」
「素晴らしかったわ~あんなに情熱的で~」
「黙れっ!」
「どうしたの?マオ?」

名前の記憶も無い女の戯言を聞くに堪えなくなり大声で言葉を遮った。
それでも縋るように媚びるように裸身のまま俺に抱きついてくる。
いまだ掛け布の中にある己自身に手を這わせてくる。
自分の気持ちとは関係なく生理現象は正直であった。
女の身体を組み敷き殆ど記憶はなくとも、
昨夜もきっとそんな行為をしたのであろうか・・・。

真上から日本人らしからぬ金髪の髪の毛を強く引っ張りながら
無理やりに焼いた小麦色の首筋に噛み付くように唇を這わせた。
女はなんの抵抗も無く、むしろ自ら率先して足を大きく開き
もう既に泉から溢れ出いるところへ俺の手を導き愛撫を催促している。

朝日に恥らい無く晒させているふたつの頂に
首筋と同様にいたぶるように執拗に攻めた。
その間、片方の手は女の泉のほとりにある
欲望の粒を攻め立てることをやめなかった。

おもむろの女をうつ伏せにし四つん這いにした。
そして自分の怒張した己自身を一気にその泉に埋めた。
まるで獣が交わっているかのような格好だ。
グチュグチュとぬかるんだ水音をさせ、
メスの匂いが部屋に充満し始めた。

女が狂ってしまったのではないか・・・?
と、思うくらい獣のような声を発する中
俺はただ無言で心のやるせない想いを振り払うように
ただ女が果てるのを待つように
激しく腰を打ちつけた。

それから己自身は決して女の中では果てることはなく寸前のところで
抜き去り女の背中に自身を放った。
そして無言のまま、
いまだ荒い息を上げて身体ががくがくと痙攣している女を放ったまま
掛け布すらかぶせることもせずに、俺はシャワーを浴びに浴室に入った。

たった今自分の行為を洗い流すためには唯一の方法としか思えないほど
熱い湯を頭から浴び続けた。

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自分のブルーな気持ちなどお構いなしに月曜の午前中はとても忙しい。
総務部に配属されている自分は、
会社のことに関してあらゆることを把握していないといけない。
人事部長から辞令の発表を聞かされた。

お昼休みに給湯室でお弁当箱を洗っていたら
同期の堤理子(つつみ りこ)が話しかけてきた。

「和華子!聞いた?同期の井上篤(いのうえ あつし)っていたじゃん」
「えぇと・・・誰だっけ?」
「ほら、以前に懲戒免職になった和華子の同期だよ!
アイツはさ~最初っから気に入らなかったんだよね~
社長の息子ってだけで、全然仕事しなかったし」
「そうだっけ?」
「そうだよ・・・企画書の一つも満足に書けない奴だったし」
「セクハラ紛いなこともしていたし・・・ストーカーっていうの?
なんか取引先の女の子に嫌がらせして警察沙汰だったって」
「そうだね・・・」
「そうそう!その追っかけまわしていた女の子って
STプロモーションの子だって!
まぁ、うちみたいな大手の広告代理店だったら
そういうところと接点があってもおかしくないけれど。
保護観察処分だったみたいだけれど・・・
その期間にまた警察に捕まったって、あれは一つの“癖”だね」
「えっ!?STプロ・・・?」
「それで責任とって社長も変わるんだってさ!
あ~あ、社長の息子で結構イケメンで最初は良いと思ったけれど・・・
どこかにお金持ちのジュニアでイケメンはいないかしら~
ねぇ、和華子、そう思わない??」

手にしていたプラスチック製のお弁当箱が派手な音を立てて床に落ちた。
傍でお喋りが止まらない理子をよそに、給湯室の床に裏返しになっている
お弁当箱をやっとの気持ちで拾い上げた。

『STプロ・・・・』そんな言葉が頭の中をぐるぐる駆け巡り
辛くて悲しくて・・・そして甘い時間を過ごしていたあの頃を思い出していた。

あの頃の私・・・。
高校を卒業後、家庭があまり穏やかでなかったので
近所ではあったが部屋を借りた。
両親の不仲を幼い頃から見ていたから
細々でも自分の城(部屋)を持ち自由に生きられることを
初めて楽しいと思った。

あの頃だ・・・。
彼に出逢ったのは・・・。
彼に出逢ったお陰で自分も幸せになって良いんだと感じた。
その後は辛かったけれど、でも今の幸せを掴み取ることが出来たから。
後悔はしていない。

両の手のひらに掴めるだけの幸せ・・・今はそれだけで充分。
これ以上望んだら・・・きっと。

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映の保育園までの道のりは車で約10分ほど。
乗り降りや保育園での支度等の時間を含めたら
電車に乗るまでの時間は約30分近くは掛かってしまう。
少し時間が押していることを腕時計を何度も見ていたようだった。

「和華子、映を預けてから・・・急行の止まる駅まで送るから」
「いいよ、そんなことしたら、悪いよ、疲れているのに」
「いいから、俺がそうしたいんだよ」
「でも・・・今日だって里津さんに迎えに来てもらうんだよ?
おんぶに抱っこに肩車でお世話になったらいけないよ・・・」
「家族のようなもんだからいいんだよ・・・」
「ごめんね、ありがとう、翔」
「『ごめんね』はいらない、
でも『ありがとう』は嬉しい」

これほどまでに親切にしてくれる友人に心から感謝しているうちに
程なくして車は保育園に到着した。

「翔は降りないで!」
「どうしてさ?」
「いいから、あっくん、降りるよ」

息子を片手で抱き上げとりあえず保育園の門の中へ入れる。
それから助手席の荷物を取り出した。
その後、翔は車を路肩に寄せ停車ランプを点滅させた。


それを確認しながら私は保育園に息子と一緒に入って行き
早番の保育士に息子を預けた。

着替え等を息子のロッカーにしまい
申送り用のノートを所定の位置に置いた。

保育士に挨拶をしていつものように
息子にギュッとハグしてバイバイをしてから
翔の待つ車に乗り込んだ。

「この道路の状況だったら・・・3個先の駅でも大丈夫そうだよ?」
「ううん、いいよ、いつものところで」
「3個先だったら、そんなに乗車時間も長くないでしょ?」
「だから、いいって!」
「和華子?どうした?」
「あっ・・・ごめん、じゃぁ、3個先の駅でお願いします」
「ラジャー!!」


2人を乗せた車は静かにすべるように発進した。
心地良い振動と真反対に私の心は、
仕事で疲れているであろう翔に対して
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
ただの幼友達なのに・・・シングルマザーなのに・・・
ちょっとのことでイラつく自分に嫌気が差し情けない気持ちになった。

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住まいは家主の家族が昔住んでいたところを
格安の家賃で住まわせてもらっている。
垣根越しに家主の母屋が見える。
我が家から勝手門までは緩やかなスロープとなっている。

玄関の鍵を閉めて息子を確認しようとして・・・
振り向けばいつもどおり垣根の葉っぱを狙っている。
苦笑しながらいつもそのセレモニーを注意しつつ
母屋へ声を掛けるために飛び石の上を歩く。

「里津(りつ)さん、行ってきます!」
「おはよう、和華(わか)ちゃん、あっくん」
「今日はよろしくお願いします」
「了解!遅くなりそうなんだよね?
今日はお昼寝前に迎えに行けば良いでしょ?」
「はい、それで・・・」
「わかっているわよ、
家で一休みしたら・・・
午後の診察に間に合うように予防接種に行けばいいんでしょ?
あらっ?あっくん『予防接種』に反応したね?
今日は里津おばちゃんと行くのよ、ブーブー乗って行こうね」
「ブーブー、ワ~イ!」
「帰りは・・・散歩をかねて“あひる池”をぐるっと周ってから帰ってくるわ、
夕飯はこっちで食べるつもりでも良いでしょ?」
「はい、充分です。いつもありがとうございます」
「気にしないでね、私は、和華ちゃんを娘のように思っているし、
あっくんは孫みたいなものよ。
それより!バスに乗り遅れちゃうわよ~~!!」
「じゃぁ、行ってまいります、あっくん、里津さんに『バイバイ』は?」

垣根の葉っぱを既に数枚自分のものにしている小さな手をひらひら振り
「バイバイ」と笑顔で彼女を見ている息子を穏やかな気持ちで見下ろしながら門を開けた。
バスの時間を気にしつつ、息子の手を繋ごうとしたとき
振りほどくように私の横をすり抜け、あっという間に里津さんの立つ所まで戻ってしまった。

「あっくん、保育園遅れるよ!!行くよ!!」
「るう!!ワーイ!!」
「おぅ!映(あきら)、おはよう!!」
「はよ、るう!!」
「翔(かける)、おはよう」
「和華子、おはよう、これから出勤でしょ?車で送っていくよ」

玄関枠より数センチはオーバーしている
身長の持ち主の里津さんの息子の翔がひょっこり顔を覗かせていた。
幼友達の翔は、中学校まで同じ学校だった。
その足元には我が息子が抱っこをせがむようにぴょんぴょん跳ねている。

「そんな・・・いいよ、明け方帰ってきたんじゃないの?」
「そんな大荷物持ってバスに乗れるの?それとも歩き?
無理でしょ?さぁ、映、行くぞ!」
「ハーイ!るう!ブーブー?」

そんな会話をしているうちに車のトランクからベビーシートを取り出し
手早く取り付けてしまい、手馴れた手つきで息子を座らせてしまった。
私の肩に掛けてあるショルダーバッグをも助手席に放り込んで
有無を言わせない態度で私を映の隣に座るよう無言で促した。
もうこうなっては頑なに乗らない・・・というわけにはいかない。
ここは彼の行為に甘えて車に乗り込んだ。
・・・というか、朝、彼が自宅にいればどんなに遅く、
いや、朝方帰ってこようが殆どこの仕事を買って出てくれる。

「さぁ、映、出発!」
「おーー!!ぱーーーっちゅっ!!」
「和華子は?」
「あっ、はい、お願いします」
「映のママはノリが悪いね~」
「なんでよっ!?」
「よしっ!和華子はそう強気でいかなくちゃっ!」
「・・・・なんで、強気って・・・」

朝からハイテンションの男子2名。
それと少々ノリの悪い?女子1名を乗せたワンボックスカーは走り出した。


presented by 地球の名言

紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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