2017 / 09
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腕の手当てをしてからリュウさんは救急箱を持ってそこから離れた。
離れ際、私の顔をジッと見つめて何も言わずに立ち去った。
入れ替わるように足立さんが自販機のホットココアを持って来てくれた。

「美晴ちゃん、もう大丈夫だよね?」
「はい・・」
「とんだ災難だったね~。このまま電車で帰るのはちょっと怖いでしょう?
僕の車で送ってあげるから、とりあえず家には少し遅くなることを連絡してね」
「えっ!?でも・・・いいんですか?」
「そうして欲しいんだ、これを飲んでいてね。
ちょっとこっちの用事済ませちゃうからね」
「ハイ、ありがとうございます。でもメンバーさん達に悪いから・・・」
「いいの、いいの、あいつらは男だし、それぞれタクシーや電車で帰れば済むからね。
イヤ、1人だけ同行すると思うけど了承してね」
「それは・・・こちらとしては構わないですが・・・」
「じゃぁ、そういうことで!
それに、渡辺チーフに話したら絶対に送るように言われたよ。
俺もあいつには世話になっているからね・・・」
「そうなんですか?で
も足立さんと渡辺チーフって確か同期では無かったですよね?」
「そうなんだけどね・・・・ここだけの話だけれど俺のかみさんが渡辺チーフの妹なんだよ。
義理のお兄さんには逆らえないからね~~~」
「え~~~~~っ!?そ、そうだったんですか!?」

あまりの驚きに私は思わず素っ頓狂な声をだしてしまった。
私の反応に笑いながら足立さんはメンバーの待つブースへ行ってしまった。

私は日頃7階へは滅多に上がってこないので
物珍しいのも手伝ってキョロキョロ見回していた。
掲示板には所属している女優さんや歌手、
お笑い芸人さんの出演されている宣伝用のポスターが
所狭しと貼ってあったりする。
改めて自分が勤めている会社が芸能人がたくさん出入りしている
華やかな世界の一部なのだと感じる。
まぁ、少なくとも裏方専門の自分の部署とは縁遠いけれど・・・・。
そんなことをぼんやりと考えながら椅子に座っていた。


「あなた誰?一般人はここにいられないのよ?
それとも新人さん?だったらちゃんと先輩に挨拶しなさいよっ!」
少々高圧的な声が頭上から聞こえてきた。
ふと、顔を上げればそこには話題に事欠かない新人歌手の麻田もえこがいた。
「えっと、一応社員です。」社員証をバッグから出して見せた。
「ふ~~ん、そうなの・・・でもね、一般人じゃないの、ここの部署じゃないんだから・・・
それとも芸能人に会えるんじゃいかな?って軽く考えているんでしょう?
全くこういう動機が不純でプロダクションに入ってくるのよね?
それともタレントにでもなりたくてチャンスがあったら?
なんて考えているんでしょう?黙っているということはそういうことね」
「ち・・・違います・・・・」

私はアツシの事といい、『The芸能人』というような麻田にまで
どうして今夜はこんな風に言われなくちゃいけないのだろうと感じていた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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