2017 / 06
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Page.107

廊下で泣きだしてしまった私に気が付いて、
リビングにいた隆臣お兄ちゃんが私をそっと抱き締めた。
「美晴、もう大丈夫だよ・・・怖かったんだね」
「美晴、動揺しないで・・・
リュウさん、悪いけど・・・美晴をこのまま彼女の部屋へ連れて行ってくれる?
部屋の位置は昔と変わらない一番東側なの」

姉が機転を利かせて私を部屋へ行くように促した。
半ば隆臣お兄ちゃんに支えられるようにL字型の階段を登り、
上がって廊下の突き当たりの自分の部屋へ入った。
部屋のドアは開けっ放しで私はパステルグリーンのラグの上に崩れるように座り込んだ。
私の隣に彼も胡坐をかいて座ったが、肩を抱いたままだった。

「もうあんな思いは絶対にさせないから・・・俺が美晴を守る!」
「隆臣お兄ちゃん・・・ううん、『リュウさん』なのに・・・・
私のためにそんなことまで言わなくて良いのに」
「俺は・・・美晴の前では『椎名隆臣』だ・・・・前から、いやずっとこれからも!」
「そんなこと出来ないよ、だってあなたはフェニックスのリュウさんじゃないっ!」
「違う!『リュウ』である前に俺は・・・・」
「違わない!あんなに素敵な曲を作れる人、ファンの人みんなから応援されている人・・・
私だけのためになんて不可能よ」

私はこれ以上傍にいると冷静さを取り戻せなくなうようで
数センチ程彼から離れようとした。
しかし、彼はそれを許さず・・・・更に強い力で抱き寄せられた。

「素敵な曲・・・・それは美晴を想う気持ちを曲にしたんだ。
ファンに支持されなくても俺は・・・美晴の傍にいることが出来ればそれだけでいい
他は何もいらない・・・」
「そんなこと、ダメだよ・・・」

胸に押さえ込むように抱き締める隆臣お兄ちゃん、
さっきアツシにやられた行為とそうかわらないのに
何故か嫌じゃない・・・・ううん、それよりずっとこのままでいたいと思った。
そして私ははっきりと彼のことが好きなんだと感じた。


お互い何も話さず、暫く彼のぬくもりを感じているうちに私は、
極度の緊張とその後の安堵感で彼に凭れかかるように眠ってしまった。
隆臣お兄ちゃんは、私を抱かかえてベッドにそっと寝かせた。
姉を呼び、洋服を楽にさせて・・・
その後も暫く私の傍にいたという。
そうしてから彼は私の髪に唇を寄せて、意を決したように立ち上がり部屋をあとにした。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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