2017 / 05
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翌朝遅くに目が覚めた私は体中が痛かった。
部屋着用のロンTとレギンスで裸足のまま階下へ行くと、
母と姉がダイニングで話しをしていた。
いつもと変わらない様子で母が話し掛けてきた。

「おはよう、美晴。あぁ・・・でももう10時過ぎだから『おそよう』だわね。
食欲はある?野菜ジュースあるわよ、飲む?」
「美晴、今日はお休みにしたわ。
渡辺チーフには・・・事情がわかっているからね」
「おはよう・・・」
「他の人には『風邪で発熱』ということにしたからね。
どうせ木曜日だし今週いっぱい休んじゃえば?」
「・・・・ありがとう・・・お姉ちゃん・・・・でも仕事が・・・・」
「大丈夫よ!渡辺チーフから礼子さんへ伝達されているはずだし。
それは・・・・お互い様よ!」
「う・・・ん」
「それにここのところ殆ど自宅には寝に帰ってきているようなものだったし
今日はのんびり過ごしなさいね」
「うん、そうする・・・・ホントにありがとう・・・・」
「そうそう、忘れるところだったわ・・・午後リュウが来るからね、そのつもりでね~~~♪
さぁて、私は美晴の顔も見られたし・・・・仕事行きますか!
お母さん、私・・・・今夜は遅いと思うからご飯はいらないです~~~」
「千晴(ちはる)あまり遅くならないのよ!お父さんが心配するからね・・・・行ってらっしゃい」

脇においてあった新聞をラックへ片付けながら、姉らしい笑顔で部屋から出て行った。
部屋の仕切りから手だけ出してヒラヒラさせて出勤した。

母が野菜ジュースとフレンチトーストとヨーグルトをダイニングテーブルの上に置いた。
「これくらいなら食べられる?何かお腹に入れないとダメよ!
それからお母さんは、これからお友達と出掛けるけれど・・・
夕方には帰るから留守番お願いね
千晴が言っていたけれど、午後に隆臣君が来るからそのつもりでね。」
「・・・うん、わかった」


私はフレンチトーストの甘い香りを吸い込んでからゆっくり食べ始めた。
姪っ子達が食べるくらいの少量の遅い朝食を摂った。
食器を片付けて、リビングのソファの上にクッションを
抱えたまま庭の花々をぼんやり眺めた。
「♪♪♪♪~~~~♪」
ソファのサイドテーブルに置いてあった私のケータイが鳴った。
着信の名前を見て顔をしかめた・・・・アツシだった。
昨日の今日で、どうして電話なんか出来るのか?と気分が悪くなった。

昨夜、廊下で泣いてしまってから自分のバッグはそこに置きっ放しで
姉がバッグをリビングに置いておいてくれたのだろう。
『でも・・・どうしてケータイだけがサイドテーブルに置いてあるの?』
という疑問がふと頭に浮かんだが、色々考える力があるほど精神も元気ではなかった。

クッションを抱えたまま私はそのまま眠ってしまっていたようで・・・・
町内の児童公園から12時を知らせるチャイムが遠くに聞こえた。
ダイニングの方に置いてある小さいテレビのスイッチを入れたところ
未来堂で制作したフェニックス出演のCMが流れた。
更に言葉に出来ないもやもやとした気持ちが湧き上がり即座にスイッチを切った。
サイドテーブルのケータイはマナーモードになっていて
時折テーブルのガラス面をカタカタ震わせている。

喉が渇いたので冷蔵庫から麦茶を取り出し、
ガラスのコップに淹れてキッチンで一気に飲み干した。
少し気持ちがしゃっきりとした。
納戸から掃除機を取って来て、
おもむろにリビングから始まって両親と姉以外の部屋を掃除し始めた。
今朝母が既に済ませているであろうトイレもお風呂も掃除した。
その後、少しお腹が空いたのでクラッカーにチーズやジャムを
乗せて食べ熱い紅茶を2杯飲んだ。
そうして気持ちが徐々に穏やかになっていった。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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