2017 / 11
≪ 2017 / 10 2017 / 12 ≫
Page.

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


Page.124

隆臣さんは庭から玄関にまわって、そのまま2人で私の部屋に入った。
ラグの上にベビーブルー色のカバーの平たいクッションが3枚、
ディスプレイが出来る四角い小さなテーブルの周りに置いてある。
そこにそれぞれ座った。
彼はどこか思い詰めたような面持ちで・・・・。

「美晴、ゴシップ誌の件、ごめん・・・こっちサイドで防御することが出来なかった
不安にさせて、ホントごめん、俺、美晴を守るって言っておきながら守れなかった」
「ううん、大丈夫だよ。確かに・・・当初は動揺したけれど・・・・
お姉ちゃんが、それだけじゃなくて両親も支えてくれたから。何より私が隆臣さんを信じているから・・・」
「そうか・・・美晴は強くなったな。」
「ううん、強くなったんじゃなくて、あなたを信じているから、
好きだから、何も怖がらなくていいと思ったの」
「美晴・・・・」
「それに、うふふふ・・・
天下のフェニックスのリュウさんの未来の奥さんになるのに、
弱かったら色んなことに太刀打ちできないじゃない?
お姉ちゃんも含めて『山本家の女性』は強いのよ!
あの母を見ていてそう思うでしょう?」
「確かにな・・・これは頼もしい味方が付いたな」
「そうでしょう?」
お互い声を上げて笑った。


「明々後日がコンサートツアーの本当の意味での最終日なんだ。東京では2日間公演するから。
関係者席だけど用意したから必ず来て欲しい」
「うん、でも・・・・夜だよね?」
「1人分だけじゃないから、もし可能ならご両親や大悟先輩家族も一緒にどうかな?」
「姪っ子達がいるから、お兄ちゃん家族はどうかな・・・聞いてみなくちゃわからないけど
多分、母親は行くと思うわ・・・フェニックスの大ファンだもの。
庭いじりするとき聴いているくらいだもんね♪」
「そうなのか!?誰のファンなのかな~~?俺か?ヒロか?う~~~むぅ、気になるな~~」
私はこんな風に過ごせる日が来るとは思わなかった日々を思い出しながら、
穏やかに流れる雰囲気を心から幸せだと思った。

「いつかの曲のデモテープのコピーを足立さんがお見舞いとして送ってきてくれたの。
意識が無い時、他の曲も含めて隆臣さんが作った曲や
フェニックスの楽曲を流していてくれていたの。
その時ね、幼い頃の夢を見たの・・・・。
いつだったか隆臣さんがうちのピアノを弾いてくれたでしょう?あの時の約束覚えている?」
「覚えているよ・・・あの時美晴はまだ幼かったけれど、
大きくなるにつれ俺の気持ちは切なくなる一方だった。
美晴への募る想いを音符にしたためても、想いが届かないという気持ちが先立って・・・
悲しげな、切なげな曲しか作れなくなってしまったんだ。」
「それであまり作らなくなったのね?」
「あぁ・・・ヒロは俺の気持ちとかよくわかっていたから
『モヤモヤとした気持ちを逆に曲として表現すれば良い』と
アドバイスしてくれたが・・・それもイライラの原因になっていたんだ」
「以前エレベーターホールでの口喧嘩ね?」
「そう、あの時は心底驚いたよ。口喧嘩になる原因の女性が立っていたんだから・・・・」
「あの時は本当にびっくりしたわ。でも原因が私だったなんて思いもしなかったわ」
「ごめん、驚かせて・・・」
「もういいから・・・・・こうしていられるんだから、もういいの」
隆臣さんは照れ隠しなのか、私の頭を子どもにするようにクシャリと撫でた。
スポンサーサイト


この記事へコメントする
















presented by 地球の名言

紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

只今ランキング参加中なり。 ポチッとして頂けたら嬉しいです。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。