2017 / 07
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コンサート会場は多くのファンが来て、今か今かと始まるのを待っている。
ここは・・・入院していた病室からも見えていた大きなイベント会場。
フェニックスの全国ツアーの最終日はいつもこの会場と決まっている。
今日お姉ちゃんはスタッフとして裏方に徹し、でもヒロさんは先日きちんとした形で発表した。
ヒロさんの出身地でのコンサート中に発表したそうだ。
その時のヒロさんもお姉ちゃんも幸せそうだったと、後日足立さんから聞いた。


大音響と共にフェニックスの公演が始まり、ファンの人達が総立ちで盛り上がった。
私の両隣を見れば・・・両親と兄夫婦も負けずにノリノリ♪である。
姪っ子達は義姉の実家へお泊りだそうだ。
そしてフェニックスのファンの母親は・・・・もう何も言うまい。
夢を見ているかのような錯覚に陥りそうになる。
私は真っすぐにキーボードのリュウさん・・・隆臣さんだけを見ている。
彼もきっとこの広い会場の中で私だけを見つめてくれていると信じて・・・・・。


公演も終盤に差し掛かり、舞台に大きなグランドピアノが運び込まれた。
今回のツアーに何度も足を運んでいるであろう熱狂的なファンの人達が騒ぎ始めている。
他の都市でのコンサートではなかったらしい。

一瞬舞台が暗転となった。
そしてグランドピアノにスポットライトが当たる。
そこに隆臣さんが1人座る。
「俺には・・・・自分がまだ中学生の頃から心に決めた女性がいる。
これに関しては皆も知っていると思う。まだ気持ちが伝えられない時、
曲を作っても気持ちが切なすぎて・・・・自分の満足のいく曲を作れなかった。
いつしか俺は、曲を作らなくなったんだ。
でも切ない想いも、苦しい想いも全て彼女へ溢れ出る俺の気持ちだから
音符にしたためました。この曲を俺の愛する美晴に捧げます」
会場が水を打ったようにしんと静まり返り、
隆臣さんの奏でるピアノの旋律が心地好く耳に届いた。
それは、いつか車中で聞いたデモテープの曲。
「完成したのね・・・」母がぽつりと呟いた。
母に頬を流れる涙を拭ってもらってやっと自分が泣いていることに気が付いた。
隆臣さんの奏でる曲に合わせて、ヒロさんが詩を詠むように想いの言葉を添えた。

演奏が終わり、隆臣さんが舞台の真ん中で頭を下げて・・・彼の目にも涙があったように見えた。
会場から湧き上がるような拍手、拍手、拍手・・・・。
ファンの人達が口々に「おめでとう!!」と言っている。

私はこの瞬間をきっと一生忘れない。
彼が私への真っすぐな気持ちを、想いを曲にしたためてくれる限り信じていける。
愛するあなたの腕の中でLove Songをずっと聴いていたい。





                      ―おわり―
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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