2017 / 09
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元々熱っぽかった体調のあたしは、
雄輝に抱かれながら心地好い揺れに睡魔が襲って来た。
保健室に一番近い昇降口から校舎に入り、そのまま静かに保健室へ向かう。
雄輝が運動靴を脱ぐ時、一瞬雄輝の唇があたしのおでこを掠めたような気がした。

「北山、こないだ怪我したとき・・・もうあんな思いはしたくないと言ったのに・・・」
「(ごめんね・・・ユウキ)」
「俺、お前のこととなると周りが見えなくなる」
「(それはあたしも同じだよ)」


保健室のベッドにあたしをそっと寝かせて、養護の先生に経緯を話している。
エアコンが効いていてとても涼しい。
養護の先生があたしの体操着の間から器用に体温計を差し込みながら
カーテンの向こう側にいる雄輝に話をしている。

「北山さんはどうやって倒れたの?」
「騎馬の上に乗っていて北山は騎手だったので、
相手チームの子に引っ張られて・・・・仰け反るように落ちました」
「そう・・・後頭部にコブが出来ているけれど・・・・吐き気とかないみたいだから」
「倒れてから、目を開けてくれなくて・・・俺、どうしたらいいか・・・」
「大丈夫よ、西君、あなたがそんなに動揺してどうするの?
それにしても・・・怪我の絶えないお嬢さんね・・・」
「先生、熱は・・・ありますか?」
「そうねぇ・・・これはちょっと早退した方がいいわね。
ちょっと待って!今日は君は付き添いダメよ。まだ授業があるでしょ?」
「はい・・・・わかりました」
「ちょっと北山さんのおうちの人に連絡してくるから
悪いけれど西君、彼女を起こしてミネラルウォーターが飲めそうだったら・・・飲ませてあげて」
「わかりました・・・」
養護の先生が保健室を出て行き引き戸を静かに閉めた。

「北山、水飲めるか?」
「うぅ・・・・ん・・・ゆ・・・うき?」
「頭、痛いか?起きられるか?」
「お水?・・・・うん・・・飲みたい・・・・」
一所懸命上体を起こしたつもりだったが
『ポフンッ!』と頭を枕に戻してしまった。
「無理か・・・?ちょっと待って」

そう言う雄輝はあたしの肩の下に腕を入れて
自分の体にくっ付けるようにあたしの上体を起こした。
口元にそっとペットボトルの口を付けてそろりそろりと傾けて
少しずつミネラルウォーターを飲ませてくれた。

「もっと飲む?もういらない?」
「・・・・もういい、ありがとう・・・ユウキ・・・」
「うん・・・・頭、まだ痛い?吐き気は?」
「ううん、吐き気は無いよ・・・頭と胸が少し・・・
あたし、ユウキの言うことちゃんと聞けば良かった・・・」
「もう、いいよ・・・・」
そう、言いながら雄輝はあたしの頬をやさしく撫でた。

その後、養護の先生が保健室に戻りそれと入れ替わるように雄輝は校庭に戻って行った。
20分ほどで母親が車で迎えに来て、その足で西総合病院の脳外科と内科へ直行した。
一応CT検査をもして、コブのみの怪我で骨などには一切異常はなかった。
胸の痛みは、上から騎馬部分の子が重なった時の打ち身。
熱っぽい体調は、残暑の疲れで夏風邪をひいたとのこと。
医師の診断はコブや打ち身も含めて熱が下がらなないうちは安静にするように、ということだった。
母親に支えられながら帰宅し、そのままTシャツ・短パンという部屋着に着替え
薬を飲むために蒸しパンを2~3口食べて処方してもらった薬を飲み
自分の部屋に這うように辿り着き、倒れ込むようにベッドに入った。

階下では母親がいる気配がするが、あたしにはもうそんな余裕すらなくて
発熱の所為と後頭部のコブの痛みとであっと言う間に夢の中へ。
時折、意識が浮上する感じがする。
その時、額が冷たく感じる。
きっと母親が冷たいタオルでものせてくれているのかな?
でも・・・・濡れているって感じじゃない。
手のひらで熱を測るような仕草で。
そしてあたしの意識は混濁していく。


『西君、あのさぁ、今度、あたしと・・・デートしない?』
――――――やだ、ユウキそんな子とデートなんかしないでっ!
『だってさぁ、あたし、西君のこと大好きなんだもん♪ファンクラブにも入っていたんだよぉ』
――――――あたしの方が好きなのに!!
『好きな子いるって知っているけどぉ、あたし、諦めないしぃ、絶対あたしの方が良いって!』
――――――それはユウキが決めることなのに・・・
『ねぇ、お願いだからぁ、1回だけでもぉ、あたしと付き合ったら・・・あたしの良さがわかるって!』
――――――ユウキ・・・本当に付き合っちゃうの?
『ねぇ、いいでしょう?あたしと付き合ってよぉ』
『わかった・・・・付き合うよ・・・そういうことだから北山、ごめんな・・・』
――――――ユウキ、嫌だ~~~~!!!
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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