2017 / 10
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「ユウキ!!」
あたしは叫ぶように彼の名を呼び、肌掛け布団を跳ね除けるようにガバッと起き上がった。
「どうした?北山」
「・・・・ユウ・・・キ?」
「うなされていたぞ、大丈夫か?」
「ゆ、夢だったの・・・・」

目の前には、私服姿の雄輝がいた。
出窓のカーテンに夕日が映り自室全体をオレンジ色っぽくさせていた。
混濁する意識の中で感じた冷たい大きな手のひらで雄輝は、あたしの額から頬に手を滑らせた。
あたしはその仕草に縋りつくように両手で雄輝の腕にしがみ付いた。

「ユウキが・・・さっきの女子と行っちゃう夢・・・見たの・・・」
「さっきのって・・・?あぁ、ウチのクラスのあいつか・・・」
「うん・・・」
「騎馬戦の時、あいつに引きずり落とされたって聞いた」
「・・・・・」
「明日、俺・・・あいつにハッキリ言ってやるから」
「いいの、そんなことしなくて・・・・でも・・・うぅっ・・ふぇ・・・ん・・・」
「どうした?どこか痛むのか?おいっ!北山!?」
「ち、違うの・・・どこも痛くないっ・・・
違うの、ユウキ~~夢の中みたいにあたしから離れないで」

あたしは子どものように半べそで雄輝の腕に更に力を込めてしがみ付いた。
雄輝は反対の腕で包み込むようにあたしを抱き締めて、
背中をとんとんと軽く叩きながら慰めてくれた。
彼のそんな優しい仕草にあたしの気持ちは徐々に落ち着いてきた。


「俺はどこにも行かない、北山の傍にいるよ・・・」
「うん・・・・」
「あいつは・・・ウチのクラスの女子の事は、
これ以上北山を悩ませることは無いから」
「・・・・ユウキ、わかった・・・・」
「はぁ―――ッ!それにしても北山とこうなってから、
俺が心安らかに過ごせることが出来なくなってしまったよ」
「ごめんね・・・・ユウキ」
「じゃぁ、お詫びをもらうかな?」
「お詫び?えぇ~~とぉ・・・どんなことがイイ?手足のマッサージとか?」
「ごめんなさいの気持ちを込めて・・・俺にキスして?」
「ユウキ~~~~~~!?な、なんでぇ???そ、そんな~~~////」
「じゃぁ、お手本♪」
そういうか早いか、雄輝はあっと言う間にあたしの唇にそっと口付けた。

「わかった?こうやるの」
「う~~~~ッ!」
もの凄く期待している顔であたしを見ている雄輝に「意地悪!」と囁きながら
そっと雄輝の頬に唇を寄せた。

「まぁ、いっか!北山からの初めて・・・だからイイよ」
「ユウキ~~~!!」
「そういえば、ここへ来る前にウチの病院へ寄ってきて聞いたよ
後頭部のコブと胸に打ち身だってな?」
「うん、そうなの・・・胸のほうには何枚も湿布剤を貼られちゃった
こんなに貼られたの初めてだよ、ユウキ見る?」
あたしは襟ぐりを少し引っ張った。
「/////~~~な、なんでっ!?そんなとこの湿布を俺がいちいち見るんだよ!!」
「ユウキ・・・?どうしたの??顔が赤いよ?」
「北山~~~お前にはまいったよ」

そう言いながら雄輝がなぜ顔が赤いのか?と考えてもよくわからないあたしを
彼は自分の肩にあたしを凭れ掛けさせ、自分はあたしの髪に顔を埋めるように
あたしを優しく抱き締めた。
でも彼の身体は小刻みに振るえているようだった。

「ユウキ?」
「黙っていろ!」
「・・・・う、うん・・・・」
何故雄輝が怒った口調になったことがよくわからず
あたしは取り繕うように雄輝の手を左手で掴んだ。
それに気が付いた雄輝は「ふぅ―――」と深く息を吐いた。
自分から手を繋ぎ直し、以前あたしが怪我をしたところを
親指で優しく撫ぜてくれた。

「ユウキの手って、大きいね。
それに今は冷たくて良い気持ち」
「そうか?それはまだ微熱があるからじゃないか?」
「うん・・・そうかも。
さっき寝ているときおでこに触ってくれていた?」
「うなされているみたいだったから
心配だったから・・・・」
「安心できるの・・・」
「そうか・・・・」


それから上体を起こしている体勢がしんどくなったあたしは
雄輝にそっと横たえて貰い、そのまま静かにお喋りをした。
手は繋いだままで、時折雄輝は優しくおでこを撫でてくれた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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