2017 / 10
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一瞬何が起こったかわからない感じ。
でも・・・
でも・・・私の中の自分が覚えているそんな感じだった。
背後から支えられて同じ方向を見ている。
そして心に染み入るような藤堂さんの声。
いつ聞いたのか?
何か大切なことを忘れてしまっているのか?
そんな疑問が私の中からふつふつと湧き出る感じがした。

「すみません、ドジですね、私。こんな段差に転びそうになるなんて・・・」
「大丈夫?どこかぶつけたかな?」
「いえいえ、大丈夫です」
「そう・・・?」
「ありがとうございます」
「じゃぁ、また改めて工房へ寄らせてもらいますね」
「ハイ!是非!!・・・では失礼します」
そう言って藤堂さんに会釈をして別れた。
私の後姿を彼は見えなくなるまで見つめていたとは知らずに・・・・。


私は帰宅後、母屋へはインターホンで帰宅を告げそのまま工房にいた。
海岸で拾ってきたものを冷たい水道水で洗い流し
窓辺のタオルの上に並べた。
デジカメで撮った風景はパソコンのファイルに保管した。
机の前に座り、次の作品の構想を練ろうとスケッチブックを広げ鉛筆を持ったまま
私は作品の事ではなく全く違うことを考えていた。
藤堂さんと別れ際、私の中で何かが弾けた感覚。
とても大切なことを忘れているような、そしてどこか懐かしい感じがする。
胸の鼓動が耳に響いているようで落ち着かなくなってしまった。

広げていたスケッチブックを閉じ、鉛筆もしまい
その代わり母の万華鏡を箱から出し、表面を何度も撫でた。
こうすることによって自分の心のざわめきが凪いでいくように思えたから。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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