2017 / 10
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カルチャーセンターにてレッスン後、後片付けをしていた。
今日は手伝いに来る薫お姉ちゃんはお休み。
少し体調が良くないとかで・・・今朝携帯電話にメールがあった。
教室を出て、受付に鍵を返したところ懐かしい声で呼び止められた。


「山里?久し振り・・・」
「高田君?わぁ~久し振りだね・・・あの結婚式以来だね、元気?」
「う・・・ん、まぁな、ぼちぼちだよ・・・」
「そっかぁ、あれっ?今日お仕事は?」
「一応、重役だからさ・・・時間はどうにでも出来るんだよ
それより、少し時間取れないかな?」
「・・・少しなら大丈夫だけど」
「じゃぁ、このビルの喫茶店でいい?」
「ええ、そこへ行きましょう」

私と高田君は少し離れ気味で一緒にエレベーターに乗り込んだ。
こんなに彼の近くにいるのは高校生以来かもしれない。
他に誰かに見られてしまう心配も無いのに・・・
やっぱり自分の中では彼は『過去に好きだった人』となってしまったんだな、と感じた。
喫茶店は落ち着いた雰囲気であったが明るい印象だった。
BGMは静かにジャズ系の音楽が流れている。
こないだ海岸沿いで藤堂さんと入った喫茶店とは全く違った。
当然と言えば当然なのだが、
他のお客さんはスーツやお洒落な服を着ている人ばかりだった。
窓辺のテーブルに通されて私たちは共にコーヒーを頼んだ。

「ごめん、忙しいのに悪かったね」
「ううん、いいの。今日はカルチャーセンターの仕事が早めに終わって
時間があるから少し隣駅にでも行ってデパートでもぶらぶらしようと思っていたから・・・」
「そっか、実は白状すると・・・教会に電話して今日のスケジュール聞いていたんだ」
「そうだったの?じゃぁ、偶然あそこにいたわけじゃないんだね?」
「ごめんごめん、それから・・・ちゃんと謝らなくちゃいけないことがあるんだ」
「・・・・紀江ちゃんとのこと?」
「うん・・・そう」
「離婚したって・・・聞いたけれど」
「厳密に言えば、別居中だよ」
「そうなの?だって・・・こないだ紀江ちゃんが『私が原因で離婚した』と言っていたけど」
「離婚届はまだ出していないんだ」
「でもどうして・・・?」
「俺、高校のとき山里のこと好きだった。
でも紀江と・・・そういう仲になって結果的に紀江を選んだ。
打算的なことも含めば彼女の言うとおり『三崎物産』も魅力的だったよ」
「そんな~~~そうなの??」
「そんな顔するなよ・・・でも俺だってそんなことだけのために生涯の伴侶を選ばないよ
そこまで冷酷人間じゃないよ」
「そうだよね・・・だって高校生の頃の高田君は本当に優しかったものね」
「結婚当初から何かにつけ紀江は『真凛と違う』『私だけを見て』と常に不安がっていた。
色々な意味で真凛をライバル視していたんだと思う」
「紀江ちゃんとは、一緒に育ったのに・・・」
「彼女の場合、山の里教会へ来る前は環境は劣悪だったとしても実の親のもとにいたから・・・
自分が愛して止まない人から拒絶されることが最も許されないとだと思ったのだろう」
「そうね・・・紀江ちゃんには実の親の記憶はあるって聞いたことがある」
「真凛にはそういう記憶がないから、イイという訳じゃないけれど」
「うん、わかっているよ」
「仕事の方も経営の勉強も始めていたから、紀江を構ってやれなくて
些細なことで喧嘩が絶えなくなって・・・義父の進言で別居することになった」
「そうだったの・・・大変だったね」
「いや・・・こんなこと大変なんて思っていないよ
それより紀江を不安に陥らせた自分が嫌になったよ」
「良かった・・・高田君はちゃんと自分の星を見つけたんだね」

2年前、雅お姉ちゃんに言われたことを、約束を果たすために
この別居期間が必要だと言うことを話した。
いつか紀江と一緒に笑って私に会いに来てくれる事を約束して
高田君とは喫茶店の入り口で別れた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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