2017 / 07
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Page.159

謙杜は駅の一時的に止められる駐車場に車を止めて
彼女と約束したコーヒーショップにて待つことにした。
何も頼まずに店内で待つのも少々気が引けたのでホットコーヒーを頼んだが
殆ど口にせずホームに電車が入ってくるたびに目を凝らしながら改札口のほうを見ていた。
遠目で容姿が真凛に似ている女性を見かけるだけで
少年のように胸が高鳴ってしまう自分に苦笑してしまった。


コーヒーショップに入ってから数本の電車を見送って
もう一度彼女の携帯電話に電話を掛けようとした時、
自分が座る席の前のガラスを軽く叩く音がした。
ダークグリーンのファー付きのコートにキャメル色のスカート、
黒のロングブーツを身にまとった真凛がにこやかに笑っていた。
『お待たせしました』と口の形だけではっきりとわかるように模り、
セミロングの髪をふわりと靡かせてぺこりと会釈した。
一口か二口しか飲んでいない、すっかり冷めてしまったコーヒーをカウンターに返し
足早にお店を出て真凛の傍へ行った。

「こんばんは、結構お待たせてしまいましたか?」
「いいや、そんなことないよ」
「そうですか?それなら良いんですが・・・
お電話してからちょっと時間が掛かってしまったかな?と思ってしまったので」
「いや・・・ここまで来るのに道も空いていたし、コーヒーも飲めたしね」
「あぁ~~やっぱりお待たせしまったのですね、すみませんでした・・・」
「いや・・・うぅん・・・僕が・・・早く・・・真凛に会いたくて・・・
早めに家を出ただけだから気にしないで」
「私に早く会いたかったのですか?実は私もなんですよ・・・うふふふ」

お互い同じ気持ちだったことに照れくさくなってしまった。
その雰囲気を打ち破るかのように謙杜が務めて平常心の声を出して駐車場へ行くように促した。
彼の言葉に答えるように真凛も返事をしたが、
声が上ずってしまっていることに彼女は気が付かなかった。
謙杜の車までは何故か終始無言となってしまった。


帰宅ラッシュもあり一時駐車場は満車でどれが謙杜の車なのだろう?と真凛は思った。
チェッカーに精算料金を入れる彼の後ろ姿を見ていた。
暗がりの所為か彼の車がどんな形なのか良く見えなかったが、
暫くして自分の前に濃紺のワンボックスカーが静かに止まった。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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