2017 / 10
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Page.174

「ヤダヤダヤダ~~~やめてよ~~~」
「お前だって西とこういうことしているんだろ?俺としたって平気だろう?」
「そんなことっ!!」
「していないって言えるのかよ?俺とすれば西も喜ぶんじゃないか?『北山上手くなったな』ってね」
「なんてこと言うのよ!!あたしとユウキはそんな安っぽくないよっ!」
「男なんてそんなもんだよっ!」
「ユウキは違うもんっ!!」
「いいや、西も健全な男子なら同じだよ」

どこかこの状況を楽しんでいる悪魔の様な笑みを浮かべている尾方が怖くなり
頭のどこかで『逃げろ!』と警報が鳴っている。
あたしが更に怯えた顔をしたのか尾方はじりじりと近寄り
あたしの顎と頭を捉えて無理やり唇を押し付けてきた。
ユウキ以外の男性の唇が凄く嫌で力なく泣き出してしまった。
「ユウキ~~~ユウキ~~~」
木立の中の枯れ草の上に洋服のことも気にせずぺたんと座り込みしゃくり上げるように
助けを求めるように雄輝の名前を呼びながら子どものように泣いた。

『北山!?どうした?何があったのかっ?答えろ?どこにいる?』

そんな言葉が泣いているあたしの耳に届いた。
力なく持っている携帯電話の通話口から雄輝のかなり焦っている声が聴こえる。
「ユウキ・・・?ユウキ~~~助けてよ~~~」
「西か!?」

『どこだ?北山――――ッ!!』

電話の声と参道入り口から聞こえる声が重なりまるで音声多重で聴こえる。
涙でぐしゃぐしゃになったあたしは前方に雄輝の姿を捉えた。
尾方の手を思いっきり振り解き雄輝に向かって一目散に駆け出した。
携帯電話片手に周囲を探し回る雄輝の胸の中に飛び込むように駆け寄った。
飛び込んできた広子を抱きとめ食い入るように雄輝は彼女を見つめた。
その後からわざと動きを緩慢にしているのか、
ゆっくり木立の中から尾方が雄輝の前に姿を現した。
雄輝は自分の背に広子を庇うように立ち、尾方と対峙した。

「北山!?どうした?」
「え~~ん、ユウキィ~~~怖かったよ~~~」
「何があった?あの電話なんだ・・・・?あれは尾方?」
「あたし・・・あたし・・・・オガッチに・・・」
「オイオイ、北山~ちょっと遊ぼうと思っただけなのに大袈裟だな~~~」
「ってめぇ!北山に何をした!?」
「別に何もしてねぇよ、ちょっと、いつも西とやっていることをやらせろって言っただけさ」
「なんだと!?」
「に~し~、結構北山の唇って柔らかいんだな~
お前だけ独り占めはずるいし、俺とキスすれば上手くなって
西も喜ぶんじゃないか~~?って北山に言ったんだけどな・・・」
「・・・・・・」
「こんなことまで言われて殴らないのかよ?結構お前、へタレだな!」
「ユウキはそんなことないもんっ!」
「いいよ、北山。ここでお前を殴れば俺の気が済むかもしれない、
でもお前は殴るほどのヤツじゃないってことだ
つまり俺とは対等ではないということだ。俺はお前を相手にしていないってことだ!!」
「なんだよっ!結局ヘタレじゃねぇか・・・・」

そう捨て台詞を吐いて尾方は自宅の方向へ歩いていった。
身体を雄輝にピッタリくっ付けて未だ震えが止まらないあたしは力なく涙を流していた。
その間、参道入り口横のあずまや風のベンチにあたしを座らせけがをしていないか
素早く手を動かし確認していった。
乱れた髪を直し、スカートに枯れ草が付いてしまっているのを自分のハンカチでささっと払い
尾方に摑まれて赤くなってしまった手首を優しく擦ってくれた。

「バスを降りたところで北山から電話で悲鳴が聞こえて凄く驚いたよ」
「ごめんね・・・ユウキ」
「まるで映画かドラマみたいだったな・・・」
「暴れているうちのリダイヤルしたみたいで・・・ユウキにそのまま掛かっちゃったんだね」
「それで良かったんだよ、そのお陰で大事に至らなかった・・・」
「すっごく・・・・怖かったの・・・男子ってあんなに力が強いんだね。
ユウキはあんなに無理やりって絶対にしないし怖い思いさせないし・・・・
オガッチが言ってた『健康な男子ならキスの上手い子のほうが嬉しい』って、ユウキもなの?」
「いいや!そんなことない。俺は北山じゃないとダメだ、北山しかいらない・・・いつか北山が・・・」

顔をそっぽ向けて語尾が聴こえない状態で雄輝は口の中でなにやら呟いた。
あたしは急に顔を赤らめてそっぽを向いてしまった雄輝が怒ってしまったのか不安になった。

「ユウキ・・・怒ったの?あたしがあんなことされたから?」
「違うよ・・・健全な男子だからだよ・・・」
「やっぱり・・・キスが上手い方が良いんだ~」
「違うよっ!そこは重要視しなくてイイよ!あ~~~もうっ!そうじゃないからなっ!!」
「ユウキ、どうしたの・・・?」

涙が完全に渇きっていない状態のあたしは、彼にとってかなりキスしたくなる顔だったようで・・・。
あたしの髪を耳の後ろに掛けながらそのまま耳の後ろに優しく唇を寄せて囁いた。
「北山が無事で良かった。ここの氏神様のお陰だね」
そう言い、耳たぶを甘噛みして頬から首にかけて滑るように何度か唇を寄せた。
そしてギュッと力を込めてあたしの体を抱き締めた。
あたしの震えが治まるのを待って雄輝はあたしの顔を覗きこんだ。


「守ってくれた氏神様にお礼をしなきゃな、縁結びも固く結んでもらって・・・
更に北山の志望校合格もおねがいしなきゃな!」
「え~~そんなに?氏神様そんなに訊いてくれるかな?
『どれか一つにしなさい』って言っているかもよ」
「じゃぁ、守ってくれたお礼だな」
「うん、そうだね」

あたしは泣き笑いの様な顔で雄輝を見上げ、
彼の腕に手を絡ませて一緒に参道に向かって歩き出した。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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