2017 / 07
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お目当ての家具屋さんで思い通りのチェストを見つけた。
メジャーを持参して来たのですぐに購入するものも決まった。
2人が立っていた所に3人掛けタイプのソファがあり、
それに修二が一目惚れしてしまいそれも併せて購入することにした。
リネン系の商品もとても安かったので数点一緒に配送してもらうことにした。
家具屋さんを出て、なんとなくウィンドショッピングしながらぶらぶらと歩いた。
お洒落な食器類が陳列されているお店に入った。
こういうものに関して強く興味を示すのは幸乃の方で
修二は彼女が一つ一つを指差しながら見せる笑顔に眩しそうに見つめていた。
楽しい時間もそこまででその場にいた1人の店員が修二の存在に気が付いた。

「あの・・・間違っていたらすみません、あのぉ、フェニックスのシュウさんですか?」
「えっと・・・・俺のこと?」
「ハイ!そうですよね?人違いじゃありませんよね~あたしファンなんです。
わぁ~ここにはお買い物なんですね♪♪モチロン、サービスさせていただきますね♪」

かなり興奮気味の店員の声にその場にいた数人が徐々に集まり
決して広くない店内はあっと言う間に人だかりとなってしまった。
モール内の回廊からも人が流れ込んでくるようになり
さすがにこの場を収めなければと思い、修二は店員が言う要望を聞くことにした。
数点の商品の購入とサインを要求された。
店員に話しかけられた時たまたま幸乃とは陳列棚の反対側にいたので
そのまま彼女は外に出て行ってしまった。
目をそらす一瞬彼女の瞳はとても悲しげで自分の胸の中心がズキッと痛んだ。

商品を選んでいる間、自分に付きまとっている店員は何かと根掘り葉掘り聞いてくる。
終いには『運命の出逢い』だとまで言って来た。
結構な量になってしまったので配送してもらうことにしたが、
もちろん届け先はプロダクション宛てにした。
理由は『昼夜問わず、在宅時間が不定期だから』ということで・・・・。
まさか幸乃と一緒に住んでいるマンションの住所は提示したくなかったからだ。

約レベル3くらいの営業スマイルを振りまいてその店を出た。
店外へ出てみればやじ馬が沢山いた。
プライベートだから・・・とやんわり断りながらその場所をあとにした。
幸乃の居場所を確認するために携帯電話を取り出した。


幸乃は修二からだいぶ離れたキッズショップ・ゾーンにいた。
先ほどあっと言う間に人だかりになってしまったのを見てとても胸が痛んだ。
車中では「しょうがない」と聞き分けの良いことを言ったが・・・
本当はもう自分自身、我が儘に叫びたいくらいのところまで来ている。
でもそれを自分から口火を切って良いものだろうか?
きっとそうしたら彼を困らせてしまうだろう。
どうすることも出来ないジレンマに陥ってまた自己嫌悪になる幸乃だった。

目につく物はベビー用品が多い。
まぁ、ここが子ども用品関連のショップが並んでいるから当たり前なのだが
今の幸乃にとってそれは心躍る嬉しいことと同時に
彼を失ってしまうのではないか・・・という喪失感が交互に襲ってくる。
可愛らしい大人顔負けの小さな洋服を
なんとなく眺めていると携帯電話が着信を告げた。

『幸乃ちゃん、ごめん。今どこ?』
「修君、大丈夫?やっぱり予想通りだったね」
『ほんとにごめん・・・』
「いいよ、私は平気だよ。それより、あのお店で欲しかったのものがあったんだけれど
もうお店に行けないよね~~」
『あぁ、さっき幸乃ちゃんが見ていた白っぽいお皿のセット買ったよ』
「本当?わ~~嬉しい、よくわかったね~~じゃぁ、それで今日のことは帳消しです!」
『そうか・・・それでいいのか?』
「うん、それで良いです♪」
『わかった・・・ところで今どこだよ』
「えぇ~~っとココはね・・・・・・
コーヒーショップの角を右に入ったキッズショップ・ゾーンの噴水の前にいます」
『わかった!すぐ行く!絶対にそこから一歩も動くなよ!!』
「ハ~~~イ」

修二はモール街の案内板で幸乃がいる場所を確認し足早にそこへ向かった。
彼女が言うコーヒーショップの角を曲がってすぐに噴水が見えた。
その傍にあるベンチに俯き加減で座る彼女を確認した。
静かに近寄り彼女の隣に座った。

「ごめん、待たせたね・・・それに、まただよね」
「いいよ・・・・もう」
「やっぱりよくない、俺は今のままじゃ嫌だ」
「でも、修君1人じゃ決められないよ?」
「そうだけど・・・・」
「それより、ありがとうね♪お皿のセット嬉しいよ」
「あぁ・・・幸乃ちゃんの好みもわかっているから」
「そうみたいね~~~!そうそう、ヒロさんところの出産祝いここで用意しない?
すっごく可愛いのがいっぱいなんだよ~~~」
「あぁ、そうだな。でも着る物とかはお義兄さんのところのお下がりがあるらしいよ」
「そうなんだ~じゃぁ、お食い初め用にベビー食器なんかどう?」
「食器!?またあっちのゾーンに戻るのかよ?」
「違うよ~あそこのお店にイチゴ模様の可愛いのを見つけたんだよ」

修二の焦り顔の頬を突っつきながら幸乃がころころと笑った。
それに釣られて彼女の前でしか見せない笑顔を浮かべた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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