2017 / 05
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Page.184

父親自ら幸乃にコーヒーを淹れて先ほどの妻の無礼を詫びた。
幸乃は修二の隣に腰を抱かれるように座った。
未だ震えている彼女を心配そうに覗き込んだ。

「細君の非礼を許して欲しい・・・前妻に負い目があるのか、
特に血は繋がっていなくても皓一や修二に期待をしてしまっていたんだ。
しかし、子は親の思い通りにはいかんのだよ」
「・・・・・」
「皓一はどちらといえば大人しい方で職業などは細君の思い通りになったが
結婚の経緯までは思い通りにならなった。救いは・・・『どこの出だ』ということだろう
それより私はね、幸乃さんのご両親の方がずっと立派だと思うよ
町工場を経営されて三姉弟をそれぞれ夢を叶えるためにきちんと教育を受けさせたのだから」
「そう言って頂けると嬉しいです。ありがとうございます」

幸乃はぺこりと頭を下げた。
それを見た修二は父親を誇らしく思い、そして幸乃を抱いている手に力を込めた。

「それとね、さっき修二から映画の件を聞いたよ。
息子が留守中は不安だろうからここへ来なさいと言いたいが
そうなるとまたひと悶着じゃ済まされそうにないからね。
私たちは見守らせてもらうで止まっておくよ
でも、もし困ったことがあれば遠慮せず言いなさい。
幸乃さんも私達とって大切な嫁なんだから」
「お義父さま・・・・」
「ありがとう、親父・・・・」

父親の言葉にやっと今までの緊張を解いた修二と幸乃だった。
そして優しい面持ちで見つめ満足そうに一人で何度か頷いた。
それから別室にいた皓一が混じり、小一時間談笑した。


結局手土産に持って行ったワインも飲まなかったので帰りも修二が運転して帰ることにした。
カーステレオからは洋楽が流れ、
小雨が降り始めて窓に雫が垂れているのを幸乃は指でなぞっている。
2人は始終無言で帰宅の途についた。
玄関に入ってすぐフットライトの仄かな明るさの中で幸乃は修二の後ろから抱きついた。

「幸乃ちゃん!?」
「何も言わないで、このままでいて!」
「幸乃・・・・」

彼女が声を殺して泣いているのが厚手のジャケットを通してでもわかる。
くぐもった声で自分の名前を呼びながら震えていた。
両手を前に組んでいるのも震えている・・・・
仄かな灯りの中でもそれがわかる。
彼女の心情が手に取るようにわかり、修二はその両手に手を添えた。
そして強めに彼女の手を引っ張り自分の前に向かい合うようにした。

「幸乃ちゃん、ごめん・・・あんなことになるなら連れて行かなかったのに」
「ううん、修君のせいじゃないもん、だから謝らないで・・・」
「でも、それでも、俺は幸乃ちゃんに悪いことをした。
俺が君を守らなければいけない立場なのに・・・」
「ううん、ちゃんと守ってくれたよ?それにお義父さまにだって、あそこまで言ってくださって
私は本当に幸せなお嫁さんだよ」
「幸乃ちゃん・・・・」

修二は彼女の優しい心遣いに救われた思いだった。
そう思った途端、溢れる想いを抑えきれなくなり、彼女の涙を唇で吸うように拭った。
柔らかな彼女の唇に自分のそれを寄せた。
「しょっぱい・・・」と幸乃が笑った。
修二は幸乃を横抱きにし、そのまま寝室へ連れて行った。
彼の首に抱きつくように幸乃は抱かれ幸せだと・・・思った。
幸乃をベッドの端に座らせ、自分はジャケットを脱ぎパネルヒーターのスイッチを入れた。
自分と幸乃のジャケットをクローゼットにしまいお風呂を沸かした。

「幸乃ちゃん、先にお風呂入って、体が冷えているよ」
「ううん、修君が先に入って。疲れたでしょう?
それにお風呂掃除しなくちゃいけないから私が後の方が良いんだよ」
「そんなことは明日俺が掃除してやるから」
「そう?じゃぁ、入ってこようかな・・・お先にね」

幸乃は着替えを持ってバスルームの方へ行った。
その間、修二は小鍋にココアを作った。幸乃好みの少し甘めのものを。
携帯電話の着信とメールをチェックした。
メールはメンバーから何件かと実家から、父親からの幸乃へのフォローのメールだった。
メールの画面に向かって修二は「親父、サンキュ」と呟いた。

キッチンの小さな黄色の時計を見て幸乃の長湯を心配してバスルームの扉を叩いた。
中から鼻をすするのと微かなしゃくり声が聞こえ、
更に心配になった修二は濡れるのを構わずバスルームに入った。
彼女の小さな悲鳴も構わずバスタブから強引に引き上げた。
無言のままバスタオルで身体を拭いすぐに暖かい格好にさせた。
右手首を掴みこたつに入れさせココアを前に置いた。

「俺、風呂入ってくるから、眠かったら、飲み終わったらベッドに入れ」
「うん、わかった・・・ありがとう修君」
「幸乃ちゃん、こたつの電気熱かったら弱めておいて」
「うん、わかった」

寝室のチェストから着替えを出し、もう一度幸乃の顔を覗き込み
彼女のこめかみにキスをした。
幸乃は修二の優しさにまた涙が溢れそうになった。
そして彼にきちんと話さなければ・・・と思った。
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【おはようございます。】
わかるなぁ・・・。
私もお風呂でよく泣いた。
ひとりになれない状況で、どうしても押さえられない時はお風呂です。
幸乃ちゃん、がんばれ!
【レスです。。。】
☆緋沙子さん、こんばんは。

そうなんですよね~お風呂の中って
顔が必然的に濡れているから、涙ウルリンでも大丈夫なんですよ。

その状況も含めて幸乃ちゃんも泣きました。
色々あるようなので。。。(にやり)
引き続き、応援を宜しくお願いします。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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