2017 / 05
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Page.187

勢いで家を出て来てしまった修二はマンションのエントランスホールで
携帯電話を取り出し、待ち受け画面を見て既に23時近い時間だった。
この時間に電話しても良いのだろうか・・・?とかなり気が引けたが
2人の家族であり、相談相手である幸乃の姉・彩乃(あやの)に電話を掛けた。

「夜分、申し訳ございません。修二です。
ちょっとお義姉さんに相談があるんですが・・・」
「修二君なの?どうしたの?喧嘩でもしたのかな~~今どこ?」
「今、自宅マンションの1階にいます」
「わかった!今から迎えに行くから・・・
風の当たらない所にいてちょうだいな。旦那に行かせるから」
「すみません、お休みのところ・・・」
「いいよ~~気にしないでね~~」

こんな時間でもかなりテンションの高い義姉は頼れる人である。
義姉家族は同じ地区に住んでいるが、一戸建てを最近建てた。
程なくして義兄の車がマンション前に到着し、修二はその車に乗り込み義姉宅へ行った。


「寒かったね~修二君、ご飯は食べた?」
「はい、実は今夜は俺の実家で食事をしたんです」
「そうだったのね・・・じゃぁ、日本茶が良いかな?」
「ええ、でもお構いなく・・・」
「そんなこと言っても一応、お茶は淹れなくちゃ。
後で妹に『お茶も出してくれなかったの?』って責められてもイヤだし」
「じゃぁ、濃い目のをお願いします」
「了解!!じゃぁ、待っていてね」

お茶を淹れるためにキッチンに立った義姉は修二から離れ、
隣に立つ自分の夫に携帯電話から妹にメールしてくれるようお願いをしておいた。

「幸乃が心配するから修二君の居場所を知らせておいたからね」
「すみません・・・」
「いいの、いいの、実はね、今夜、うちの上の子は旦那の実家へ遊びに行ってるのよ
下のおチビしかいないからどうぞ気兼ねしないでね」
「そうなんですか・・・」
「はい、じゃぁ、こゆ~~いお茶よ、熱いうちにどうぞ」
「ありがとうございます、いただきます」

お茶をすする修二を見ながら彩乃は、彼がこんな時間の訪問について大体察しがついた。
しかし、自分から話を振るわけにもいかず彼が話し出すのを待つことにした。
向かい合うようにダイニングテーブルに座り、
テーブルにはいつでも妹からの返信等が気が付けるように傍らに置いた。
ダイニングの壁に掛けられている時計の秒針の音だけが「コチコチ」と聞こえるだけで
暫く修二と彩乃は無言でいた。
そしておもむろに修二が口を開いた。

「実は俺に映画の話が来ていて。それを引き受けるか否か迷っていました
それで幸乃に相談したんですが、彼女の後押しもあって前向きに考えようとしました」
「そうなの・・・」
「でもその直後、幸乃が妊娠を告白してくれました。
俺としてはそんな大事な時期に傍にいてやれないことがイヤで・・・
妊娠がわかっているのに・・・
何故俺の背中を押した幸乃の気持ちがわからなくなってしまって」
「そうだったのね・・・」
「俺、映画の話を断ろうと彼女に言ったんです。
そしたら彼女がそんな選択をするな!の一点張りでした」
「うふふふ・・・幸乃らしい反応ね」
「えっ!?そうなんですか?」
「うん、そうよ。だって修二君のことが大好きなのよ。
フェニックスのシュウも好きだし・・・
それ以上に『湊修二』という人間が好きで好きで堪らないのよ」

彩乃からの幸乃についての告白は修二にとって新鮮であり、
改めて彼女を愛しいと感じた瞬間だった。
自分が先に彼女に一目惚れし告白し
大事に大事に愛を育み結婚まで漕ぎ付けたと思っていた。
彼女が自分を好きな以上、何倍も自分は彼女を愛していると思っていたからだ。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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