2017 / 11
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全てが目まぐるしくまるでジェットコースターにでも乗っているかのような勢いで毎日が過ぎていく。
修二が制作発表前に幸乃とのことで記者会見を開いた。
既に結婚していたこと、相手は一般の女性で現在妊娠中であること、
そしてファンに黙っていたことを詫びた。
一時は特にネット上で色々な憶測が飛び交っていたようだが、
その後の映画の制作発表や彼の誠実な態度によりそれらの騒ぎは収束した。

撮影がクランクインするとやはり修二は多忙を極め、
世の単身赴任の如く二重生活を余儀なくされた。
その間、幸乃はマンションで1人留守番となっていたが、
プレママ教室や同じマンションの先輩ママ達との交流、また1日を置かずして
姉や両親、義母が入れ替わり立ち代り様子を見に来てくれたので寂しくはなかった。

「幸乃さん、今夜は家に泊まりに来る?」
「お義母さま、ありがとうございます。でも修君からスカイプで連絡が入る予定なんです」
「あら・・・そうなの?じゃぁ、ここにいたほうがいいわね。
そうそう、ビーフシチュー煮込んできたから後から来るお父さんと一緒に食べましょう」
「わぁ~ありがとうございます。お義母さまのこれ私大好きです」
「そう?今度レシピを書いてくるわね」
「お願いします・・・それと肉まんと餃子の皮からの作り方もお願いします」
「まぁ、幸乃さんったら・・・そんなに覚えるの?」
「はい、修君の大好物ですから。お義母さまが小さいときから作ってくれて『お袋の味』だそうです」
「そうだったのね・・・・こちらこそありがとうね。やっぱり幸乃さんには敵わないわ」
「お義母さま?」
そう言う義母は嬉しそうに持って来たタッパーの中身を鍋に移した。
それを見ながら幸乃はお茶の準備をした。
お腹のベビーちゃんのお陰で皆が幸せになっていくと実感した。


国内での撮影の合間、いよいよ幸乃の出産の時を迎えた。
修二は念願かなって立会い出産することが出来た。
しかしそこには「どっちが出産するのか!?」というくらい顔面蒼白な修二と冷静沈着な幸乃がいた。
義母からのお守りが功を奏したのか、幸乃は初産なのにかなり安産で模範的な妊婦だったらしい。
どちらかと言えば修二の方が・・・・・・・。
ここは敢えてアイドルとしての沽券に係わる問題なので多くは語らない方がイメージのためである。
この逸話は子どもが大きくなっても尚語り草となった。
病院中に響き渡るような大きな産声を上げた赤ん坊を胸に抱いた幸乃を抱き寄せ
涙ぐむ修二は何度も額にキスをして「ありがとう」と囁いた。
そしてこの時この瞬間を忘れないと・・・この者たちを守るのは自分しかいないのだと誓った。



映画のキャンペーンや他の仕事がひと段落ついたので自宅に戻った修二は
ふと門扉に置いてある植木に目を遣った。
あの時は一株しかなかったが、1年以上経ってだいぶ大きくなったので3個に分けたと・・・
先日幸乃が話していた。
1個は幸乃の実家に、もう1個は修二の実家の庭に植えるそうだ。
それぞれにあげる植木鉢の傍には水色のA型ベビーカーがたたまれて置いてある。
玄関扉を開けた途端、心地好い初春の風がふわっと通り抜けた。

「幸乃ちゃん、ただいま・・・」
「あっ、修君、お帰りなさい」
「寝ているのか?」
「うん、1時間くらい前におっぱいを飲んで寝ちゃった」
「そっか・・・もう少し早く帰りたかったんだけれど」
「でも、今日明日はお休みでしょう?」
「連続4日もお休み貰えたよ」
「本当?良かったね。じゃぁ、一緒に過ごせるね。すっごく嬉しいよ」
「俺が一番嬉しいよ!!あいつと幸乃ちゃんを独り占めできるんだもんな
いつも親父やお袋から話し聞くだけで終わっているだけなんだぜ?」
「修君・・・子どもみたい・・・」
「悪かったなっ!!」
「ほら~~またそうやってムキになる~~~起きちゃうでしょう?」

寝室のベビーベッドで眠っている我が子を
2人で見に行き安眠を妨げていないか確認した。
顔を横に向け、時折口をモグモグさせる様はなんとも言えず可愛らしい。
青色のゾウのタオル地のぬいぐるみに手を乗せスヤスヤと眠っている。
修二は、そっと息子の額に口付けた。
「ただいま、ママと良い子にしていたようだね。
今は・・・ママを返して貰うぞ!」
「修君、何それ?」
「イイんだよ!」

そう言い微笑みながらリビングに戻った。
お茶を淹れて2人でソファに座った。
窓からそよそよと風が吹いてくる。

「修君、今日も良いお仕事出来たみたいだね」
「あぁ、出来たよ・・・それもみんな周りの人のお陰だし、
何より幸乃ちゃんとあいつのおかげだ」
「そう?良かった。じゃぁ、ご褒美です」

幸乃は隣に座る修二の唇に自分のそれを寄せた。
「ご褒美と充電」と言いながら
修二は彼女の後頭部に手を添えてもっと深く口づける。
一度唇を離しお互いクスッと笑い、
再び磁石で吸い寄せられるようにそれはぴったりと合わさる。
徐々に深くなるキスは、唇を離れ幸乃の喉元、
大きく開いた長袖Tシャツの胸元にまで及んだ。
Tシャツに裾から利き手を忍び込ませて、
以前より少しふくよかになった幸乃の丸い胸をそっと包み込んだ。
彼女が甘い吐息を吐いたのを合図に、
彼が熱を帯びた眼差しで彼女を見つめながら
ソファに彼女の奇声を発したのを構わず押し倒した。

「もしかしたら・・・年子で子どもが生まれるかもな?」
「そうでもないかもよ?まだ授乳時期だもん」
「そういうものなのか?」
「うん、そういうものなのよ、パパさん、育児書を読んでくださいね」
「まだか・・・そっか~~~」
「『まだ』ってあからさまだわ・・・」

押し倒した幸乃の胸元に抱かれるように修二は今ある幸せを噛み締めた。
輝いていられるのは幸乃のおかげ、そして2人にとってかけがえのない宝物のおかげ。
暫くして寝室から「うっくぅ~~~ん」という可愛らしい声が聞こえる。

「目が覚めたみたい・・・」
「そうだな、連れてくるよ」
「お願いします」

修二はソファから立ち上がった。
寝室のベビーベッドで手足をパタパタ動かしている息子をそっと抱き上げた。
そして彼の額に掛かる薄い茶色の髪の毛をかきあげ、額にキスを落とした。
カーテン越しに陽の光が部屋に入り、とても穏やかな春の午後、
ふと顔を上げた修二の瞳には一瞬息子から光が放っているよう見えた。




                   -おわり-
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【こんにちわ。】
連載お疲れ様でした。
結構最後までどうなっちゃうのかなと
あれこれ考えてしまいました。
でもよかった、ふたりの、いえ三人ですね
幸せそうな姿を見れて。

あかねさんの作品は書かれるごとに進化してて
どんどん細かな描写も増えて、
どの作品も私は好きですけど毎回仕上がりが良くなってきてると思います。
生意気な事をすみません。
でも、一作目から目をつけて(めいわく?こんわく? 笑)
読み続けてると、
作家さんの成長が見えてとってもうれしくなります。
わたしもまけないようにばんばっていきますので、
置いていかないで下さいね♪。
【お疲れさまでした♪】
雪乃ちゃんは数々の苦難を乗り越え、今の幸せがあるのですね、ホンとによかった。^^
赤ちゃんも無事に産まれ、お義母さまとも和解、こんな嬉しい事はありません、
修くんには夫として、父親としてこれからも益々、家族を守ってもらいたいですね。

ひとつの作品を生み出すのは、大変なことと思います。
あかねさんにしても緋沙子さんにしても、本当に凄いな、といつも感心させられ、
そしてまた、次回作が楽しみでなりません。
お忙しいとは思いますが、ガンバってくださいね。

長女さま、ご卒業おめでとうございます。
新しい世界の扉が開き、たくさんのものを吸収し楽しんで下さいね。
【レスです。。。】
☆緋沙子さん、こんにちは。

最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。
夫婦モノですので最後はこれからの生活も続く…と前向きな結末にしたかったんです。
多少ヤキモキして頂けましたでしょうか?(笑)

>作品は書かれるごとに進化してて
どんどん細かな描写も増えて、
>毎回仕上がりが良くなってきてると思います。

大変励みになるお言葉をありがとうございます。
未だ自分には文才というか、センスが無いわ~と痛感する日々です。
目を付けて頂いて皆様に育ててもらって本当にありがたいです。
これからもどうぞ宜しくお願いします。

私こそ、置いていかないでくださいませ~~
【レスです。。。】
☆きゅうぞうさん、こんにちは。

最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。
倦怠期・・・とまではいかなくても結婚して夫婦の生活が地に付いてきた頃にタイミング良く!?妊娠等でもう一度夫婦のあり方を描きたかったんです。
少しでも感じ取っていただけたら嬉しいです♪

今回のお話はFのメンバーだったので設定等は膨らませやすかったのですが、既に夫婦ということで色々悩みました。
それでも悩んでいる、拙稿している時期が結構すきだったり。。。
毎回「これで良いのか!?このまま更新して良いのか!?」と勇気を振り絞って(苦笑)投稿ボタンをポチってました。
また次回作も宜しくお願いします。

長女へのお祝いの言葉ありがとうございます。
本日、中学の説明会に午後から行って参ります。
いや~親子共々気持ちが前に進んでおらず。。。
周りに急き立てらるように置いてけぼりにならないように頑張りますわ~~!!
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presented by 地球の名言

紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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