2017 / 07
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いつの頃からだったのだろう。
あいつを意識始めたのは・・・・。
お隣の憧れのお姉さん的存在だった。
自分のクラスメートの姉で4歳年上。
母親の実家の隣人家族のしっかり者の長女というのが第一印象だった。
妹は青白い顔をして痩せていて小柄だったのに対して、
彼女は手足がすらりとして健康そうな体つきだった。
母親の陰に隠れてもじもじしていた自分に「よろしくね!」と握手をしてきた。
その手がとても温かくてとても安心できた。
そしてあっと言う間に俺の心の中に棲み付いた。
片時も忘れられない存在となっていった。

凪子の妹とは小1の頃から同じクラスで、
隣に住んでいるよしみで低学年の頃は登下校も一緒だった。
でもその頃の風花は1~2ヶ月に1度は入院するという体調だったので
実際の登校は姉の凪子と2人というのが殆どだった。
学校や自治会などの行事はいつも一緒に過ごした。
そんな生活も凪子が中学に入ってから徐々に少なくなっていった。


俺が小5の3学期、学内で風邪や流感が流行り始めた頃。
給食を食べ終わったくらいから悪寒が治まらなくなったため
掃除の時間に担任にその旨を伝えた。
保健室に行き検温したところ38℃以上あった。
自宅にいるであろう看護士の母親に連絡してもらい車で迎えに来てもらった。
今夜は夜勤だという母親は俺を車に乗せ、
マンション前で降ろしそのまま病院へ出勤してしまった。
子供心にもせめて玄関まで付いてきて欲しいと願ったが、
自分を女手一つで育て上げるため昼夜を問わず働きづめの母親には甘えられなかった。
最上階で止まっているエレベーターを呼ぶ間も
メリーゴーランドにでものっているような錯覚に陥るほど
世の中がグルグルと回転しているように思えた。

施錠している鍵をどうにか開けた。
肩にのめり込んでいるかのようなランドセルと絵の具バッグを
廊下に放り投げたまでは覚えている。
絶え間なく襲ってきた悪寒の中、
玄関扉が再び開いて隣のお姉ちゃんの凪子が駆け込んできた。

それから気が付けば彼女のベッドに寝かされている状態。
ぬるめのほうじ茶を半ば強引に飲まされ、氷枕を頭の下置き・・・・。
横になっているとはいえだいぶ身体は楽になった。

いつもならおばさんの元気な声が聞こえているのに
凪子の家はしんと静まり返っている。
昨夜、凪子の妹が発作を起こして入院したという。
低学年の頃は同じクラスだったので男子女子でも交流はあったが、
高学年になってクラス替えで違うクラスになり登下校すら一緒に行くこともなくなった。
しかし、隣人同士もあり、風花から声を掛けてくることもあった。

ベッドに寝ながら出来る範囲で視線をぐるりと回してみる。
6畳ほどの大きさの部屋には
こげ茶色の勉強机と同じ色合いの自分の背丈と同じくらいの本棚がある。
窓際にベッドが置いてあり足元には姿見の鏡が置いてある。
作り付けのクローゼット扉には中学の友人達と写した物であろうか・・・。
スナップ写真が数枚貼ってある。
ふとその中の1枚に目が止まった。
4~5人のクラブ活動仲間と写っている写真だったが、
凪子の横にいる男子生徒から目が離せなくなった。

いつのことだったか・・・。
その生徒と凪子がマンション近くの公園で話しているのを見かけた事がある。
その時の凪子の表情が酷く落ち込んでいて、遠目でもとても気になった。
そして子供心にも嫉妬心が芽生えた出来事だった。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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