2017 / 05
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ダイニングテーブルで試験勉強をしていた時
病院から母親が帰って来た。
スーパーのショッピングバッグから中身を出し
キッチンで手を洗いながら聞いてきた。

「なっちゃん、誰か来ているの?」
「お母さん、お帰りなさい、うん、お隣の一路が熱高くって
おじいちゃん達もいないんだって~」
「あら、そうなの?それでどこに寝ているの?」
「フラフラだったから私のベッドに寝かせちゃったわ」
「そう・・・じゃぁ、これから移すのも可哀相だから、
お父さんが帰って来るまでそこで寝かせておこうね。
如月ママは今夜、夜勤みたいだし」
「お母さん、ふうちゃんの具合はどう?」
「まぁね・・・いつものことよ。また暫く入院だわね」
「ふぅん、そうなんだ・・・」
「なっちゃんには悪いけれど、またバラバラ生活になりそうよ」
「いいよ、仕方がないじゃん」
「なっちゃんが小さい頃から物分りの良い子で助かったわ・・・
それに比べて・・・ふうちゃんは・・・」
「お母さん、ふうちゃんは小さい頃から大変だったんだもん」

娘の返事を苦笑いしながら聞いた母親は、
彼女のベッドで寝ている一路の様子を見に行った。
凪子は教科書の試験範囲をもう一度確認して、
それに順ずる応用問題集のページを開いた。
そして頭の中から一路のこと、妹のこと、
その他諸々の事を締め出し試験勉強に集中した。


風花は小さい頃から入退院の繰り返しで、それでも高学年になってからは
その回数も少なくなってきた方だった。
それでも風邪を拗らせたり、季節の変わり目には
発作が起こり長引かせないために入院をした。
今回も風邪から・・・ということと徐々に思春期の入り口に立ち始め
精神的に微妙な時期に達してきているため
発作の引き金になったのだろうか。
小さい頃からそんな状況なので、母親も心配するくらいかなり我が儘に育ってしまった。
凪子にとっては大事な妹で、多少の我が儘も許してきた。
自分の持ち物や欲しいと思っているものを妹が欲求したら速やかに譲ったり、遠慮してきた。
その行為は両親は凪子がそうしたいと思いこんでいる部分があった。
しかし、彼女は凄く我慢していた。
気の毒な妹なのに、大事な妹なのに、何故かいつも嫉妬心を抱いていた。


凪子の部屋から出てきた母親は氷枕に新しい氷を入れてから父親の職場に連絡をし
一路のことと早めに帰宅してもらうようお願いしていた。

「なっちゃん、一路君のママにはあとで病院に行くから
その時に彼のことを伝えておくわね」
「うん、そうしてあげて。今夜も夜勤だってね」
「そうなのよ・・・よく働くわよあの人は・・・
お夕飯だけれど、仕度しておくからお父さんと先に食べていてね
もちろん、一路君のお粥も作っておくから」
「はい、お願いします。ごめんね、お母さん、試験前じゃなかったら作るのに・・・」
「いいわよ、いつもなっちゃんには甘えられないもの」
「炊き込みご飯と煮魚作っておくから・・・それでいいかな?」
「うん、充分だよ!じゃぁ、和え物は私があとで作っておくから」
「そう?助かるわ。じゃぁ、作ったらもう一度病院行くわね。
面会時間ギリギリまでいてあげようと思うから」
「うん、そうしてあげて・・・ふうちゃん寂しいと思うし」
「ありがとう、なっちゃん、そうそう、この氷枕を一路君の所に持って行ってあげて
一応マスクした方が良いかもよ?」
「はぁい、わかった」

手近にあったガーゼマスクを付けた。
ダイニングテーブルに置いてもらった氷枕を手に自室へ入って行った。

「一路、入るよ?」
「・・・・・なっちゃん?」
「具合、どう?」
「汗、かいた・・・」
「じゃぁ、着替え持ってくるよ、それとこれ・・・頭の下に置いて」
「き・・・がえって?パジャ・・・マ?」
「一路ン家じゃ、わかんないから、お母さんに言って適当なもので代用しようね」
「薬、効いてきた・・・みたい・・・」
「そうだね・・・少し楽になった?でもまだまだだね・・・
何にも心配しないで今夜はウチに泊まるんだよ。
お父さんが帰ってきたら客間の方に移してあげるから」
「なっちゃん・・・ありがとう」
「そんなこと、気にしないの!一路は私にとって大事な弟みたいなものなんだから」

そう言われて一路は胸の奥がズキッと痛んだ。
また凪子もなにげに言った自分の言葉に酷く傷ついたような気分になった。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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