2017 / 05
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一路は凪子家族に看病してもらってから程なくして体調が全快した。
それから暫くして母親に凪子と同じ中学を受験したい旨を伝えた。

彼女の通っている中学は幼稚園から大学まである私立である。
凪子はそこに中学受験をしている。
幸いにして男女共学なので一路にも受験資格は充分にある。

そして学校の成績も良いほうで、
母親が女手一つで育てているのでそこは後々色々言われないために
早い時期から学習塾には通わせていた。
最初の頃は驚いて半分本気にしていなかったが、祖父母が応援してくれた。

一路は自分が小学低学年の頃から凪子に憧れという気持ちを抱いていたことを
『看病して貰った』という事がきっかけでその想いを改めて自分自身認識した。

だから中高一貫教育のそこに行けば校内でまた凪子に会えると思った。
そしていつか彼女の部屋で見かけた写真に
一緒に写っていた男子生徒が一体誰なのかもわかると思ったからだ。
子供心にも嫉妬心を芽生えさせ、その人が何故凪子を落ち込ませたのかを
それらの原因を知りたかった。

祖父母の全面的な応援もあって見事合格した。
その年の春に期待と多少の不安も抱えながら
一路は念願の凪子と同じ学校の中等部に入学した。
クラスメートとも仲良くなり、勉強も部活にも勤しんだ。
校舎のどこかにきっと凪子がいるのだろう・・・と思いながら過ごした。

中等部も高等部も共通の学内施設を使う。
授業の関係で廊下や入り口などでたまにお互いを見かけるときもある。
凪子に憧れて入学したが、徐々に思春期突入した一路は直接言葉を交わすことが
気恥ずかしく感じるようになった。

「一路、おはよう!これから体育の授業なの?」
「あぁ、おはよ・・・」
「どうした?調子悪いの?」
「別に・・・」
「じゃぁ、どうしたの?」
「別に・・・」
「出たね、一路の得意な『別に』発言!」
「・・・・・・」
「ふうちゃんがいっつも言っているよ!
一路はなんでも『別に』で済ますって~格好つけてんの?」
「・・・・別に」
「はいはい、ある種の返事だね・・・一路もちょっとは大人になったんだね」

そう話しているうちに凪子が男子生徒に声を掛けられた

「箕面、悪いんだけれど、一緒に理科準備室来てくれ!!」
「は~~い!いいよ。じゃぁね、一路、体育頑張ってね♪」

満面の笑みで大きく手を振ってくれている彼女の後ろにいる男子生徒が
自分の嫉妬心を煽る彼だとわかったのはだいぶ後になってからだった。
廊下を小走りで去って行く凪子の後ろ姿をチャイムが鳴るギリギリまで見ていた。
隣にいる風花に声を掛けられても気が付かないくらいだった。


どんなに足掻いても凪子との4歳という年齢差は縮まらない。
相手は、自分を『弟的存在』にしか見ていない。
望みはないと思っていても、憧れている気持ちはどうしても捨てられない。
男友達同士、それなりの際どい話題はする。
でも凪子をそういうことの話題の引き合いに出すことだけは絶対に出来なかった。
単純に憧れているから・・・という理由だけでなく、凪子はもう既に自分の中では
それだけに止まらない存在となっていったのかもしれない。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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