2017 / 11
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「お姉ちゃん、やっぱり行くことにしたの?」
「うん、やっぱり・・・チャンスだから行こうかな~」
「風花も行きたいなぁ、一緒に行けないのかな?」
「それは無理じゃないの・・・だってふうちゃんはまだ中学生だもん
それに私が行くのはイギリスのハイスクールだよ」
「風花も英語得意だし、お姉ちゃんと離れるのイヤだもん!!」
「聞き分けのないこと言わないでよ、それよりもうじき中2なのに自分の事
『ふうか』って呼ぶのはどうかと思うよ?」
「えぇ~~そう?おかしいかな?だってさ、こうやって言うと
周りの皆が『かわいい♪』って思ってくれて大変な事とかやってくれたり
風花の思い通りになったりするんだもん」
「それって・・・・どうかと思うけれど・・・」
「いいの!!だってさ、小さい頃から学校にもまともに行かれなくて
病院ばっかり、注射ばっかり、薬ばっかり、
周りからは『あれダメ、これダメ』ばっかりだったもん」
「ふうちゃんはいいわね~~」

風花の部屋で数学を教えていた。
少々飽きっぽい妹は小休憩と称して姉に話し掛けて来た。
一路の中学受験を知ってから風花も一緒に塾に行き始めどうにか合格し
今は同じクラスとなった。
自分の姉が交換留学生に選ばれ、クラスメートからそんな話題になり羨ましがられ
風花は自分の事のように誇らしく思ったと同時に姉の努力をも妬ましく思った。

「お姉ちゃんだって、いいじゃないの?
交換留学生なんてそうそう自分に巡ってこないよ?
英語の先生や校長先生なんか良いこと言ったの?」
「ふうちゃん!そんな単純なことでこういうチャンスは無いんだよ
自分で言うのも変だけれどこれに関しては私自身結構努力したつもりよ」
「あぁ~そうだよね~お姉ちゃんは誰にも頼らず努力できるタイプだよね?
強いんだよね~~羨ましいよ!!お勉強だっていつもトップクラスでさ~~
風花の身にもなってよ~~いっつも比べられるんだから~~」
「ふうちゃんってば・・・・ハイハイ!もうこの話はお終いね!
さぁ、次の問題やってみようか?」
「ブゥーーーーーッ!!もうイヤだっ!!
数学なんか出来なくても困らないもん!!」

そう言って問題集とノートを乱暴に閉じて
足音を大きく響かせて部屋から出て行ってしまった。
妹が出て行ったほうに視線を向けて呆れながら机の上の問題集を揃えた。
開け放たれた扉の向こうにいる妹が
母親に向かって不平とそれをたしなめる父親の声が聞こえる。

「ふうちゃんは良いわね・・・そうやって我が儘が言えるんだもん」
声に出すつもりはなかったが、そんな風に独り言を呟いた凪子だった。


「凪子、おやつにしようか?」
「あっ、お父さん、今、行くわ」
「風花のことは気にするなよ」
「うん、別に気にしていないよ、いつもの癇癪でしょう?」
「そうなんだけれどね・・・いつも凪子に悪くてね」
「お父さん、大丈夫だよ、それに今回のことは私の我が儘聞いてもらえた形だし」
「いや、本当は心配だから行かせたくないんだよ、それでも滅多に我が儘を言わない
お前が言うのだからね・・・イギリスで良いのか?」
「うん、それにウチの高校の姉妹校だし安心だよ」
「正直言って、お母さんも心配しているよ、その分、準備は充分に手伝わせてくれ」
「うん、ありがとう、そうしてもらえて嬉しいよ、お父さん」

風花の部屋でそんな話をして父親は最後に凪子の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
その幼子にやるような行為に少し驚きを見せた凪子だったが、
その仕草と感触がとても懐かしくとても嬉しく思いにっこりと父親に向かって笑顔を見せた。

ダイニングテーブルには母特製のシフォンケーキが焼き上がっており
アッサムティーの良い香りが漂っている。
風花はまだへそを曲げているのか、凪子と視線を合わせずにいる。
キッチンでは母親がケーキに添えるホイップクリームを作っていた。
お皿等の準備をするため凪子は母親の傍へ行った。

「なっちゃん、大丈夫?ふうちゃんが・・・」
「ううん、大丈夫だよ、いつものことじゃないの」
「いつものことにしちゃいけないことよ?」
「大丈夫、それに今、お父さんがフォローしてくれたもん」
「そう?」
「うん、それにこの家に私が1年いなければ風花も少しは落ち着くんじゃないのかな?」
「そうかしら・・・・」
「きっと・・・そうだよ」

母親のホイップクリーム作りを交代して自分1人だけキッチンに残った。
無心になって泡立て器を使いちょうど良い感じでホイップクリームが出来上がった
背中には刺すような風花の視線は感じていたが・・・・。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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