2017 / 09
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春休み直前の放課後。
清掃時間も終わりクラブや委員会活動に向かう生徒や
その他の生徒は帰宅するため昇降口へ向かっていた。
職員室の前に凪子は英語担当教諭と話していた。

「箕面、春休み中にあっちに行くんだろう?」
「はい、3月中には出発します」
「そうか・・・まぁ、お前のことだからもう準備万端だろうな!」
「ええ、でも自分で準備するより両親の方が張り切ってしまって」
「そうか・・・お寂しいのだろうな」
「はい、そうみたいです」
「じゃぁ、修了式を終えたら・・・暫く会えないな、元気で行って来いよ!」
「ありがとうございます。失礼します」

会釈をして高等部の自分のクラスに戻ろうと近場の階段から3階まで上がり
渡り廊下を通ろうとした時一路に会った。
学生かばんを肩に掛けて壁に寄りかかっていた。
ここは中等部も利用する渡り廊下なのでいることは不思議ではない。

「一路、まだ帰っていなかったの?」
「・・・・これから委員会」
「そうなんだ・・・そういえば放送委員だったね」
「うん・・・・」
「じゃぁ、私はこれで帰るから・・・」
「うん・・・・」
「あっ、そうだ・・・私の留守中、妹のことお願いね」
「あぁ・・・でも・・・・」
「でも、なに?」
「お願いされても困るからっ!」
「急にどうしたの?」

壁に寄りかかっていた一路は身体を起こし顔は向き合うような方向で
凪子から視線を外すように横に立った。
中1とはいえ既に身長は凪子を少し越えていた。
左手で凪子の右肩を抱くようにそれを捉えるようにした。
一瞬驚いて凪子は一路の横顔を見た。
一路は視線を前方に見据えたままだった。

「何、一路?」
「なっち・・・いや、凪子!」
「何、急に、呼び捨て?」
「ごめん・・・年下なのに」
「別にイイけど・・・・」
「話、したいんだけど」
「委員会は?」
「急用できたって言ってくるから」
「中1なのにダメだよ。高等部の人たちに目を付けられるから」
「うん・・・・わかった」
「じゃぁ、私も用事あるから家に帰ったら、話をしようね」

そう言うと一路は凪子の肩に回していた手を静かに離した。
そして何も言わずにその場から立ち去った。
廊下に残された凪子は、摑まれていた肩がまだ彼の温かさが残っているように思えた。
左手でもう一度肩に手を添え、ゆっくりと撫でた。


俺は職員室前で凪子が英語教諭と話しているのを見かけた。
そこで声を掛けずに教室に戻るために渡り廊下を通ることをわかっていたので
待ち伏せすることにした。
暫く待っていると彼女の姿が見えた。
目に入っただけで自分の心臓が跳ね上がったような気がした。
まともに彼女を見つめることが出来なかったので真横に立った。
素通りされたくなくて、少しでも話しをしたくて無意識に彼女の肩を掴んだ。
凪子は変わらず優しくて自分に諭すように話をしてくれた。
彼女がいなくなってしまう前にこの想いを伝えたかった。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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