2017 / 07
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翌朝7時頃母親に声を掛けられたが、あまりの眠気に起き上がれなかった。
祖父母達は朝食を済ませたら父が車で送って行くという。
母と妹は午後から買い物に行くと話していたっけ。
10時過ぎ空腹でやっと目が覚めた私はのろのろとベッドから抜け出し
部屋着に着替えダイニングへ行った。
キッチンでは母が夕食の下ごしらえだろうか、鰯をさばいていた。
妹はリビングのソファに座り漫画雑誌を読んでいた。

「おはよう・・・ごめんね、遅くまで寝てしまって」
「あら、起きたのね、よく眠れた?」
「うん、よく眠れた、それに自分の布団は気持ち良いわ
おじいちゃん達はもう帰ったの?」
「そうよ、1時間くらい前かな・・・なっちゃんに改めて遊びにおいでって言っていたわよ」
「うん、わかった、お父さんが送って行ったの?」
「そうなのよ、それよりごはん食べるでしょう?
しっかり日本食の朝食メニューにしたわよ!」
「あぁ、お母さん、ありがとう、納豆や梅干付き?」
「あるわよ~梅干はおばあちゃんの自家製よ!」
「嬉しい!!帰国前に同じ日本人の留学友達とも言っていたけれど
帰国したらすぐに食べたいのは『納豆』『梅干』『お漬物』だって言っていたんだよ~~」
「じゃぁ、思う存分堪能してくださいね、召し上がれ」
「いただきま~~す!!」

炊き立ての白飯、わかめとお豆腐と小ねぎのお味噌汁、鮭の塩焼き、納豆とめかぶの和え物
梅干となすときゅうりのぬか漬け、ほうじ茶。
それを一つ一つ噛み締めながら食べる凪子は自然と目頭が熱くなってくるのを覚えた。
黙々と食べる凪子の姿を見てもう1人・・・同じく目じりに涙を潤ませる母親がいた。


食事も済み暫く経ってからリビングで寛いでいる凪子に声を掛けた。
「これからふうちゃんと出掛けるから・・・なっちゃんは今日はどうする?」
「午後からお出掛けじゃなかったっけ?」
「そうだったのだけれど、
ふうちゃんが髪の毛切るって言うから先に美容院へ寄って行こうと思ってね」
「そうなんだ・・・私は、ちょっと出るとは思うけれど」
「あぁ、お隣ね?」
「うん、お土産も渡したいし」
「お昼はどうする?」
「今、食べたばかりだし・・・お腹が空いたら適当に作るから良いよ」

リビングで母親と話をしてから自室に行き、友人達に渡すお土産を小さな紙袋に入れていた。
そこへちょっとおめかしした妹がノックもなしに扉を乱暴に開けた。

「お姉ちゃん!風花はお母さんと2人で外でお昼ごはん食べるんだ~~良いでしょう?」
「ふうちゃん、いいね~じゃぁ、好きなもの食べてきなよ」
「言われなくてもそうするよ!それとお姉ちゃん、一路に会うんでしょっ!?
1年前に言ったこと忘れていないよね?一路は渡さないからね!
それにお姉ちゃんがいない間、風花と一路は付き合い始めたんだから!!
キスだってしたんだかねっ!一路は年上なんてキライなんだから!!」

言いたいことだけぶちまけて風花はまた扉を乱暴に閉めて出て行ってしまった。

『風花と一路は付き合い始めたんだから!!
キスだってしたんだかねっ!一路は年上なんてキライなんだから!!』

その言葉だけが私の頭の中をグルグルと駆け巡った。
扉越しに母親が出掛けるための声を掛け
それに条件反射で応えたのだけはなんとなく覚えている。
渡英する前彼は『待っている』と言ってくれた。
その言葉を信じて私もそのつもりでいたけれど・・・・。
やっぱり1年離れていたから、年上だから、傍にいる同級生の方が居心地が良いのか。
自分1人だけで一路の気持ちが揺らがないと思い込んでいただけなのだろうか。
そんなことを想いながらダイニングに置いてある電話が鳴ったのが遠くに聞こえた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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