2017 / 08
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新学期を向かえ私は高3に、一路と妹は中3となった。
相変わらず、私達は隣同士のよしみで登校は同じ時間が多い。
それでも一路が朝練あるときは私は妹と登校となる。
大概その時妹からの牽制にうんざりしたが、
帰国直後に交わした口付けで私達はもっと固い絆で結ばれたような気がする。
あれから特に一路との仲が進展したわけでもなく、
2人っきりになるシチュエーションになってもあれ以来彼は私を求めてこなかった。
そして私も同様だった。
でも傍にいるととても心が穏やかになった。
相手の姿を見つけるととても安心した。

私は帰国して早々に大学受験の準備に取り掛からなければならなかった。
同様に一路も付属高校とはいえ、
内部試験である程度成績を取っておかないと進級は出来なかった。
そのため部活と塾と学校と毎日忙しく過ごしていた。

「箕面、大学は上にこのまま進むんだろう?」
「ハイ、先生、そのつもりです」
「やはり文学部の英語学科か?」
「ええ、同時通訳や翻訳の仕事に就きたいので・・・
できれば上の大学に進みたいです」
「そういえば、去年同じクラスだった松原は経済学部に進んだらしい、
この前、こっちに遊びに来て箕面のこと待っているって話してたぞ」
「はぁ・・・そうなんですか」

私の高校と希望している大学は、
キャンパス自体が同じ敷地内で共有している
そして何より自分の夢を叶えるために中学受験したといっても過言でない。
でも英語科の教師から松原君の話を聞いた途端、少し嫌な気持ちとなってしまった。

放課後、そんなことを思いながらいつか一路と話した渡り廊下でぼんやりと校庭を見ていた。
自分の肩を後ろからそっと抱き締める人がいた。
振り返らなくてもわかる・・・。
一路は自分の顎を私の頭の上に軽く置き、そっと髪に唇を寄せた。
私は振り返らないまま、背中で彼の存在を感じていた。

「一路?今頃、どうしたの?部活は?」
「顧問が急遽出張になって、部活は休み」
「そうなんだ・・・じゃぁ、このまま帰るの?それとも塾?」
「塾もお休み、このまま凪子と帰るつもり、帰れる?」
「うん、帰れるけれど・・・もう暫くこのままでいさせて・・・」
「なんか、嫌なことあった?さっき眉間にシワ寄せて外見てたろう?」
「ええっ!?眉間にシワ寄っていた?」
「寄っていた、この辺に・・・」

そう言って後ろから眉間の辺りを『グリグリ~』と
右手の人差し指と中指でマッサージするように触ってきた。

「一路~眠くなっちゃうよ~~」
「眠くなっても良いよ、俺が担いで帰ってやるから」
「担ぐって・・・私は荷物じゃないわよ!?」
「荷物じゃなくても、結構重そうだから肩に担がなくちゃね~~」
「酷い!そんなに、重くないわよ~~!!
もう、せめて『お姫様抱っこ』でしょう?」
「じゃぁ、こうか?」

そう言うが早いか、彼は軽々と私を所謂『お姫様抱っこ』をした。
それも放課後の渡り廊下で・・・。
生徒も教師もいないから良かったようなもの、
ここに誰かいればかなり驚愕な絵図だったかもしれない。
中3の一路が高3の私を抱き上げ、お互いが見詰め合っている。
でもその表情は彼は穏やかな笑顔で、私は鳩が豆鉄砲食らったより驚いた顔していた。

「キャッ!な、何?一路?」
「凪子の眉間のシワ取れたみたいだ」
「最初からシワなんか寄ってないから、降ろしてよ~~」
「まだ、降ろさない!じゃぁ、もうシワなんか寄らないようにおまじないしてあげる」

そう言い、一路は抱き上げたままの格好で凪子の額に優しいキスを落とした。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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