2017 / 07
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それから暫くは英語科の教師から言われたことを頭の隅に追いやり、
毎日の学校生活を楽しく過ごしていた。
しかし、夏休みも明けいよいよ進路を本格的に決めなければならなくなった時
既に大学生になっていた松原君から会って欲しいという連絡があった。
昨夜から体調が優れなくて気が進まなかったが、近所のファミレスで会うことにした。

「お母さん、ちょっと出かけて来る」
「あら、誰と?」
「高2の時のクラスの友達」
「そう、それにしてもあまり顔色がよくないわよ?今度にしてもらったら?」
「うぅん・・・大丈夫、それに早いところ決着つけたいし・・・」
「決着って?」
「なんでもないから・・・大通り沿いのファミレスだから、行ってきます」
「行ってらっしゃい、薄手でもカーディガンを羽織っていきなさいね」
「うん、そうする」

暑い盛りも終わったが、日中は強い陽射しはあっても陽が傾くと風が涼しい。
私は母の言うとおり、薄手ではあるがコットンの黄色のカーディガンを羽織った。
小さながま口型のポシェットに小銭入れとミニタオルやティッシュを入れ
玄関でサボを履いて外に出た。
共通廊下先のエレベーターホールの方から母親の買い物に付き合ったのであろうか
2袋のエコバッグを肩から提げた一路がこちらやって来るのが見えた。

「なっちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
「お出掛けなの?」
「ハイ・・・ちょっと・・・」
「そう、気を付けてね」
「ありがとうございます、行って来ます」

そう言い2人の傍を通り抜けようとしたが一路が声を掛けて来た。

「どこ行くの?」
「う・・・ん、ちょっと・・・」
「どこ?」
「・・・・・」
「一路、なっちゃんの都合があるんだから色々聞いたらダメでしょ!?」
「どこ行くの?誰かに会うの?」
「一路・・・・あの・・・・ううん、ちょっと本屋さんに行くだけだから」
「陽が傾きかけているのに?だったら俺も行くよ、
これ家に置いてくるからそこで待ってて!!」
「大丈夫だよ・・・1人で行かれるし」
「欲しい雑誌もあるから俺も本屋に行くよ」

一路はさっさと荷物を家に置きに行ってしまった。
共通廊下に取り残された私と一路の母親と顔を見合わせてしまった。
そして彼はものの1~2分で2人の前に笑顔で戻って来た。
再び、彼の母親と呆れながら顔を見合わせて「プッ」と噴出してしまった。
その後、母親は家に入り私達は並んでエレベーターホールへ行き1階へ降りた。
マンションのエントランスを出てすぐ一路が話し掛けて来た。

「凪子、本当に本屋さんに行くの?」
「えっ!?・・・本当だよ・・・」
「ふぅ~~ん、本屋さんだったらこっちの出入り口より
駐車場の方から出た方が近いじゃん」
「・・・・・・」
「ほんとはどこ行くの?」
「・・・・・ファミレス」
「ファミレス?何しに?」
「う・・・ん、ちょっと・・・・」
「顔色も優れないのに?誰かに会うの?」
「・・・・・」
「凪子!正直に言って、心配なんだよ、
昨日から学校にいるときから変な咳もしていたじゃないか」
「あのね・・・・高2の時のクラスメートの松原君に呼び出されていて・・・」
「なんで?」
「わかんない・・・・」

私は松原君にもう1度同じ事を問いただされると思いその不安から
思わず一路の腕に摑まった。
掴んだ手にギュッと力を込めた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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