2017 / 05
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お袋の買い物に荷物持ちで付き合い
沢山の食材と雑貨を肩から提げて自分の家のある階に来てみれば
凪子は出掛けるようだった。
昨日学校でもあまり顔色が芳しくなかった。
廊下ですれ違った時喉に負担を掛けるような妙な咳をしていたのをとても気になっていた。
彼女の妹は喘息体質で彼女も風邪をひくと必ず喉を拗らせると聞いたことがあったからだ。


「なっちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
「お出掛けなの?」
「ハイ・・・ちょっと・・・」
「そう、気を付けてね」
「ありがとうございます、行って来ます」

お袋とのやりとりを横で見ていたが、
昨日同様、いやそれより顔色が優れないようだった。
俺らの横を通り過ぎようとしようとしたとき話しかけた。
このまま素直に凪子を行かせてはいけないような気がしたからだ。

「どこ行くの?」
「う・・・ん、ちょっと・・・」
「どこ?」
「・・・・・」

目を合わせようとせずにいて、その上「本屋に行く」と言い張る彼女。
スッと目を細めて彼女の手元を見てみれば、肩から横掛けにしているバッグの肩紐を
神経質に忙しなく動かしている。
幼い頃からの彼女の行動を見ていれば何を考えているかは手に取るように理解できた。
言い出せないこと等ある時、彼女はこんな行動をとる節が多々あった。
本当に本屋に行くのであれば自分が付いて行っても何の問題も無いだろう。
しかし違う理由なら・・・・?
そう思った途端、行動は早かった。
肩から提げていた荷物を家に置きに入り、
キッチンで冷えた麦茶を1杯飲み瞬く間に凪子達前に戻った。
あまりの早さに母親も凪子も笑っていた。

1階まで下り駐車場への出入り口の方へ行かず、
大通りの方へ出るマンションの正面玄関の方へ行った。
エントランスを出て集会所のある人通りの殆ど無い小道に入った。
花壇の沢山の小さいバラが夕日に傾きかけた陽射しに輝いていた。

もう1度彼女に本屋に行くのか、問いただしてみれば
いつかの先輩に会うためにファミレスに行くという。
俺はさっきの嫌な予感はこれだったのか?と思い彼女を見下ろした。
凪子は俺の腕に力を込めて摑まってきた。

「どうしたの?」
「う・・・ん、松原君に聞かれることはもうわかってるの」
「じゃぁ、なんで会おうとするんだよ」
「ちゃんと、決着つけるために・・・」
「尚更1人では行かせられないよ」
「でも、これは私と松原君との問題だから・・・ここからは1人で行くから」
「心配なんだよ!」
「心配してくれてありがとう、でも大丈夫だから」
「俺が年下だから頼りないのか?」
「ううん、そうじゃないよ、出掛ける前は『決着つけなくちゃ!』と思っていたけれど
本当に気が進まなくてね・・・母親にもまたの機会にしたら?って言われて
そうしようかと思っていたの」
「だったら、俺も付き合うから・・・」
「ううん、ホントに大丈夫だから、それにこういう風に一路が元気をくれたから
一路や自分のためにも決着付けて、逃げたくないから・・・」
「わかった・・・待ち合わせ場所まで送って行く?」
「うん、そうしてくれる?きっと向き合う勇気が出るから」

彼の腕に掴んでいる手を離し、彼と手を繋ぐように手を滑り込ませた。
それを合図に一路は自分の方へ凪子を引き寄せた。
空いている方の手で肩に手を回し自分の胸元に彼女を抱き寄せた。
そして「あまり遅かったら迎えに行くから」と言った。
手を綱だままお互い黙ってファミレスの方へ足を向けた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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