2017 / 09
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「もうっ!いい加減にしてっ!
私はもう松原君とは関係ないから!
それに大学だって松原君のいるところを希望しないかもしれないしっ!」
「声が大きいよ・・・」
「構わないなよっ!」
「とにかく、座ってくれよ・・・
ごめん、俺、自分ばっかり喋っていた・・・」

松原君に怒りの眼差しを向けたまま私は倒れた椅子を元に戻し静かに座った。
そして目の前にあったアイスティを一気に飲み干した。

「それに・・・私、好きな人がいるの」
「あぁ、知っているよ」
「知っているならどうして?」
「諦めないって言っただろう?それに俺に先に告白しておいたのに・・・?
もう俺はお払い箱なのかよ」
「お払い箱って、そんな言い方しないでよ、私は本当に自分が好きな人を見つけたの」
「アイツ・・・後輩の如月だろう?年下じゃないか!?
あんなお子ちゃまに君を渡さないよ」
「一路は・・・彼は、私の事を好きと言ってくれているわ!」
「それこそ幻想だよ!子どもの恋愛になんか付き合っていられねぇよっ!」

彼の心ない言葉に酷く傷ついて私は俯いてしまった。
ここにはいない一路に対して小ばかにしたように嘲笑う松原君に嫌悪した。


「子どもで悪かったなっ!!」

私の頭上から静かだが怒りの熱を帯びた声が聞こえた。
その声に驚きパッと顔を上げた。
松原君の前に背の高い一路が立っていた。

「凪子、1時間経った、帰るぞ!」
「待てっ!箕面、話は終わっていない、俺は・・・
大学で待っているから・・・いや、ここで付き合う宣言しても良いから!」
「私の気持ちは松原君には無いの、だから・・・もうこんなことしないで!」
「松原先輩、凪子が困っている・・・もう止めてください」
「うるさい!子どもは引っ込んでろっ!」
「松原君!一路を悪く言わないでっ!
あなたがその大学にいるのなら・・・もう内部生として受験しないわ」
「なんだと?それってどういうことだ?」
「松原君のいる大学には行きたくないって事よ!一路、行こう!!」

2人の前であっさりと違う大学の受験を宣言して、
小銭入れからアイスティ代をテーブルに叩き付けるように置き
一路の手を引っ張りながらファミレスから出た。
涼しい風が吹いていて興奮して火照っていた身体が徐々に冷めていくのがわかった。
一路と私は手を繋いだまま、いつかの公園まで来ていた。
春には見事な藤の花を咲かせるあずまやのベンチに2人腰掛けた。

「一路、きっかり1時間後だった?」
「いや、時計見てないからわからない、でもアイツの身勝手な話を聞いていて
はらわたが煮えくり返ったよ」
「どこから聞いていたの?」
「全部」
「えっ!?全部って・・・?」
「うん、全部」

しれっと答える一路の顔を穴が開くほど見つめて
「プッ!」と噴出して私はおなかを抱えて笑った。
私を送った後、自宅に帰らずそのまま遅れて店内に入り、
そして着席して目の高さより少々高い衝立の向こう側にいたそうだ。

「一路には参ったわ」
「そうか?だって心配だったんだ・・・
俺が凪子のこと好きなこと、放送部の先輩がアイツに言ったらしいんだ」
「そう、それで松原君は一路とのこと知っていたのね」
「でも、アイツの言うとおり俺、お子ちゃまで頼りないかな?
凪子に対して憧れだけの『好き』の範囲に止まらないから・・・俺の気持ちは」
「一路は・・・確かに4歳も年下だけれど、少なくとも松原君よりも
精神年齢は上だよ。それに・・・何度も私は一路に助けられているし
これかからも頼りにしているんだよ!」
「松原先輩よりって・・・なんか褒められているみたいだけれど
なんか嬉しくないような・・・」
「うふふふっ、一応褒めているのよ!?」

一路の手をもう1度握り締めてその上から片方の手をそっと添えた。
「ありがとう、一路を好きなって良かった」と呟き
そのまま彼の手の甲を自分の唇に付けた。

「松原先輩にも宣言したから俺達、正真正銘の恋人同士かな?」
「それは・・・どうかな?」
「えっ!?そうなのかよ?」
「好きだけれど・・・私の中でもまだまだ払拭されない部分があってね」
「風花のこと?」
「うん、特に姉妹だけに、正々堂々と出来ないというか、
今までの遠慮もあったりしてね・・・」
「そっか・・・俺ももっと強い男になって凪子を守れるようにならなくちゃな!」
「頼りにしているよ~~」
「ま、任せろっ!」
「動揺しているよ?」
「ウルサイッ!!」


夕焼けに覆われていた空が徐々に暗くなってきて
2人手を繋いだまま帰宅の途に付いた。

私達は大人に比べればまだまだ、子どもの域を脱していない。
それでも幼友達からいつか恋人に発展すると思う。
4歳という年の差は覆すことは出来ないけれど、
きっとそれ以上の関係を築くことが出来ると確信している。

口には出さなくともお互いそう思っている。
うん、きっと大丈夫だと・・・。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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