2017 / 06
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合格発表から卒業式、謝恩会と・・・慌しく毎日が過ぎ去っていった。
一緒に大学に付き添ってもらった日以外は
一路とはまともに話すことが出来なかった。
隣県の祖父母宅へ身の周りの物を持って行くため
毎日少しずつ荷物を段ボールに詰める作業をした。

風花との大喧嘩後、些細な喧嘩すらしなかった。
妹も私を避けているところがあった。
それまでは何かと一路に関して牽制をしてきた。
しかし、そんな素振りも見せず私が忙しくしていても
手伝おうともせず静観しているだけだった。

私は今まで隣に一路が住んでいることが当たり前になっていた
でも2日後からはそうではなくなる。
そして4月からは、彼は高等部に私は隣県の大学へ。
そのことが徐々に心に圧し掛かってきた。
荷造り中もふとそんな想いが頭を過ると言い知れぬ不安と焦燥感が襲ってきて
何も手に付かなくなってしまった。

私がここに住まなくなって彼は寂しいと思ってくれるだろうか?
妹が言うように私がいなくなれば憧れ的な存在の私より
同年代の女の子のほうが気が合うと思うのだろうか?
私だけが彼と離れてしまうことによってとても寂しいと思っているのだろうか?
そんなことを思いながら気が付けば自室から出て
最近買ってもらった携帯電話だけを握り締めて玄関を出ていた。

彼の部屋の電気は点いていたので衝動的に窓を叩いた。
他の家族はいないとのことですぐに私は玄関から静かに一路宅にお邪魔した。
玄関からすぐの彼の部屋の扉は開けっ放しで
一路はベッドに横になっていたが、
すぐに起き上がり右手を前に出して部屋に招きいれてくれた。

彼の顔を見た途端、自分の想いが涙となって溢れ出そうになった。
この時、彼に対する気持ちがわかった。
私は・・・一路が好き。
誰にも取られたくない、妹にも・・・・だ。

彼の横に座り、年上なのに子どもじみたこんな想いを悟られないように
私は努めて明るい表情で喋った。
一路に返答する隙を与えないほどに。
寂しい気持ちが言葉の端々に滲み出ないためにはそうするしかなかったからだ。

一路が自分の名前を強く呼び私の止まらないお喋りを強制終了させた。
彼の声を聞いた途端、私の想いは涙と共に溢れてしまった。
手の中にある携帯電話を俯きながら見つめていると
彼の大きな手が私の手を包み込むように優しく握ってきた。
そして彼の心の温もりを感じた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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