2017 / 05
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「俺、来年で高3になるけど・・・受験はやっぱりここの大学にしようと思ってる。
凪子が通っているというのも一つの動機だけど、でも一番の理由は・・・
親父と同じ職業を結局選んだよ」
「医学部なの?」
「うん、凪子も知っていると思うけれど親父にはよく会っていたから
それに男同士の話もあって、その延長上で将来のことも相談していて」
「そうだったのね・・・それで?」
「それで、親父の仕事を・・・見る機会もあってさ、
お袋も含めて『生命(いのち)』に関わる仕事に就きたいと思ったんだ」
「一路がそう決めたことなら、私は応援するよ!
もちろん、受験も含めてね。この凪子姉さんが家庭教師を引き受けても良くってよ♪」


凪子は相手の心の動きを読むのに関して昔から長けている。
これから俺が一番に話したいことの核心がちょっとヘビーだと感じ取り
雰囲気を少しでも和らぐように努めて陽気に話していてくれていた。


「それと・・・・もう一つ、これは俺自身のことじゃないんだけど」
「ん・・・、話せる?」
「話せるよ・・・っていうか報告っていうことかな」
「報告?」
「うちの両親、復縁することになって・・・」
「復縁!?それってまた夫婦になるってことよね?もちろん一緒に住むんでしょ?
あぁ、私、何言ってるんだろう。当たり前じゃんね~でもそれって一路には複雑だね」
「うん、そうなんだ・・・正直、『何を今更!?』って感じなんだよ」
「一路、大丈夫?」
「・・・・・・実は・・・・全然、大丈夫じゃないっ!!
俺の・・・ガキん時の気持ちはお構いなしなんだよっ!!
でも両親には、お互い大嫌いになって別れた訳じゃないから
いずれこういう形になっても仕方がないのかな・・・と思う」

凪子にそう言った途端、胸のつかえが少し和らいだように思えた。
そして不覚にも目頭がじんわりと熱くなってしまった。

「我慢していたのね・・・私の前では自分に正直でいていいよ。
私は、最後まで一路の味方だから」
「ううっ・・・な・・ぎこ・・・・」

静かだがとめどなく溢れる涙を流れるままにし、
俺はその凪子の華奢な身体に包まれるように優しく抱かれた。
押し殺した自分の泣き声は樫の木の葉を鳴らす一陣の風にかき消された。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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