2017 / 08
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住まいは家主の家族が昔住んでいたところを
格安の家賃で住まわせてもらっている。
垣根越しに家主の母屋が見える。
我が家から勝手門までは緩やかなスロープとなっている。

玄関の鍵を閉めて息子を確認しようとして・・・
振り向けばいつもどおり垣根の葉っぱを狙っている。
苦笑しながらいつもそのセレモニーを注意しつつ
母屋へ声を掛けるために飛び石の上を歩く。

「里津(りつ)さん、行ってきます!」
「おはよう、和華(わか)ちゃん、あっくん」
「今日はよろしくお願いします」
「了解!遅くなりそうなんだよね?
今日はお昼寝前に迎えに行けば良いでしょ?」
「はい、それで・・・」
「わかっているわよ、
家で一休みしたら・・・
午後の診察に間に合うように予防接種に行けばいいんでしょ?
あらっ?あっくん『予防接種』に反応したね?
今日は里津おばちゃんと行くのよ、ブーブー乗って行こうね」
「ブーブー、ワ~イ!」
「帰りは・・・散歩をかねて“あひる池”をぐるっと周ってから帰ってくるわ、
夕飯はこっちで食べるつもりでも良いでしょ?」
「はい、充分です。いつもありがとうございます」
「気にしないでね、私は、和華ちゃんを娘のように思っているし、
あっくんは孫みたいなものよ。
それより!バスに乗り遅れちゃうわよ~~!!」
「じゃぁ、行ってまいります、あっくん、里津さんに『バイバイ』は?」

垣根の葉っぱを既に数枚自分のものにしている小さな手をひらひら振り
「バイバイ」と笑顔で彼女を見ている息子を穏やかな気持ちで見下ろしながら門を開けた。
バスの時間を気にしつつ、息子の手を繋ごうとしたとき
振りほどくように私の横をすり抜け、あっという間に里津さんの立つ所まで戻ってしまった。

「あっくん、保育園遅れるよ!!行くよ!!」
「るう!!ワーイ!!」
「おぅ!映(あきら)、おはよう!!」
「はよ、るう!!」
「翔(かける)、おはよう」
「和華子、おはよう、これから出勤でしょ?車で送っていくよ」

玄関枠より数センチはオーバーしている
身長の持ち主の里津さんの息子の翔がひょっこり顔を覗かせていた。
幼友達の翔は、中学校まで同じ学校だった。
その足元には我が息子が抱っこをせがむようにぴょんぴょん跳ねている。

「そんな・・・いいよ、明け方帰ってきたんじゃないの?」
「そんな大荷物持ってバスに乗れるの?それとも歩き?
無理でしょ?さぁ、映、行くぞ!」
「ハーイ!るう!ブーブー?」

そんな会話をしているうちに車のトランクからベビーシートを取り出し
手早く取り付けてしまい、手馴れた手つきで息子を座らせてしまった。
私の肩に掛けてあるショルダーバッグをも助手席に放り込んで
有無を言わせない態度で私を映の隣に座るよう無言で促した。
もうこうなっては頑なに乗らない・・・というわけにはいかない。
ここは彼の行為に甘えて車に乗り込んだ。
・・・というか、朝、彼が自宅にいればどんなに遅く、
いや、朝方帰ってこようが殆どこの仕事を買って出てくれる。

「さぁ、映、出発!」
「おーー!!ぱーーーっちゅっ!!」
「和華子は?」
「あっ、はい、お願いします」
「映のママはノリが悪いね~」
「なんでよっ!?」
「よしっ!和華子はそう強気でいかなくちゃっ!」
「・・・・なんで、強気って・・・」

朝からハイテンションの男子2名。
それと少々ノリの悪い?女子1名を乗せたワンボックスカーは走り出した。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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