2017 / 08
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自分のブルーな気持ちなどお構いなしに月曜の午前中はとても忙しい。
総務部に配属されている自分は、
会社のことに関してあらゆることを把握していないといけない。
人事部長から辞令の発表を聞かされた。

お昼休みに給湯室でお弁当箱を洗っていたら
同期の堤理子(つつみ りこ)が話しかけてきた。

「和華子!聞いた?同期の井上篤(いのうえ あつし)っていたじゃん」
「えぇと・・・誰だっけ?」
「ほら、以前に懲戒免職になった和華子の同期だよ!
アイツはさ~最初っから気に入らなかったんだよね~
社長の息子ってだけで、全然仕事しなかったし」
「そうだっけ?」
「そうだよ・・・企画書の一つも満足に書けない奴だったし」
「セクハラ紛いなこともしていたし・・・ストーカーっていうの?
なんか取引先の女の子に嫌がらせして警察沙汰だったって」
「そうだね・・・」
「そうそう!その追っかけまわしていた女の子って
STプロモーションの子だって!
まぁ、うちみたいな大手の広告代理店だったら
そういうところと接点があってもおかしくないけれど。
保護観察処分だったみたいだけれど・・・
その期間にまた警察に捕まったって、あれは一つの“癖”だね」
「えっ!?STプロ・・・?」
「それで責任とって社長も変わるんだってさ!
あ~あ、社長の息子で結構イケメンで最初は良いと思ったけれど・・・
どこかにお金持ちのジュニアでイケメンはいないかしら~
ねぇ、和華子、そう思わない??」

手にしていたプラスチック製のお弁当箱が派手な音を立てて床に落ちた。
傍でお喋りが止まらない理子をよそに、給湯室の床に裏返しになっている
お弁当箱をやっとの気持ちで拾い上げた。

『STプロ・・・・』そんな言葉が頭の中をぐるぐる駆け巡り
辛くて悲しくて・・・そして甘い時間を過ごしていたあの頃を思い出していた。

あの頃の私・・・。
高校を卒業後、家庭があまり穏やかでなかったので
近所ではあったが部屋を借りた。
両親の不仲を幼い頃から見ていたから
細々でも自分の城(部屋)を持ち自由に生きられることを
初めて楽しいと思った。

あの頃だ・・・。
彼に出逢ったのは・・・。
彼に出逢ったお陰で自分も幸せになって良いんだと感じた。
その後は辛かったけれど、でも今の幸せを掴み取ることが出来たから。
後悔はしていない。

両の手のひらに掴めるだけの幸せ・・・今はそれだけで充分。
これ以上望んだら・・・きっと。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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