2017 / 07
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昨日のお迎えのときから変な咳をしていた息子の体調を気にしながらも
仕事が立て込んでいるため半ば見切り発車で出掛けた。

「和華ちゃん、あっくんの顔色あまり良くないわね?」
「ええ、でも今日は、どうしてもダメなんです。
保育園は病児の子も預けられるように対応はしてくれますが・・・」
「そう?でも、どうしてもだったら私が預かるから」
「はい、その時は・・・お願いします」
「じゃぁ、行ってらっしゃい!」
「行ってきます。あっくん里津さんに『バイバイ』は?」

朝から少々機嫌の悪い息子は垣根の葉っぱ採りは勤しみながらも
大家さんである里津さんには
チラッと見上げておざなりで手をひらひらさせていた。
翔はいないらしく、いつもどおりバスに乗って保育園へ送って行った。


社長就任の辞令を人事部長から聞いた。
副社長だった人がそのまま上に昇進した形だ。
『野本嵩央(のもとたかお)』氏

ここまで大きな会社だと代表取締役ぐらいは把握していても
それ以下の方々に関しては正直言ってよくわからない。
働かせてもらっている身でありながらまったく失礼な話なのだが、
日々の生活の多忙さにかまけていてそこまで把握できていないのが
末端の女子社員の現状だろうと思う。

新社長の名前を聞いて『まさか・・・ね?』という言葉が頭の中にもたげた。
社長挨拶を会議室の大きなモニターで拝謁した。
第一印象は声が似ている・・・と思った。
でも男性なら似ている人が多くても不思議ではない。
だからこのときは気のせいだと思った。

そんなことを考えていたのはやはり一瞬のことで
午後一から仕事の忙しさに振り回され始めた。
一息を吐く頃、私に1本の電話が入った。

「お預かりしている映君ですが
朝から機嫌が悪くて・・・
先ほどお熱を測ったら38.0℃ありました。
他の園児とのこともありますので・・・
お迎えに来て頂きたいのですが・・・」

ああ~やっぱり、今日は行かせるべきではなかったんだわ。
私はすぐに里津さんの携帯電話に連絡を入れて
先に迎えに行ってもらうことを頼んだ。

上司は事情をよくご存知なのですんなりと早退させてもらった。
しかし同期とはいえ、年下の理子ちゃんや他の同僚は
私がシングルマザーだということは知らない。
血相を変えてオフィスを飛び出していった私を見て
あとからきっと不思議に思ったに違いない。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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