2017 / 05
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「和華子、映がのど渇いたって」
「あっ、うん、ありがとう、遊んでくれていたの?」
「庭の隅っこの何も植えてない花壇がいたくお気に入りだよ。
公園の砂場より土がやわらかいから、映、そうだろう?」

慣れた手つきで洗面所からタオルを濡らしてきて
俺のひざの上に座っている子どもの手を拭き始めた。
それも爪の間に入ってしまった土も丁寧に優しく取り除いていった。

「あっくん、こっちおいで、お茶飲もうね」
「ママ、ちゃっちゃ」
「そうね、コップで飲むからこの椅子に座ってね」

膝から立ち上がり和華子の方へ歩き、
ダイニングテーブルのベビー用の椅子に座らせてもらい
上手にコップからお茶を美味しそうに2杯飲んだ。

「まだ、話、終わってないんだろう?」
「・・・・・・」
「お袋がさ・・・っていうか、俺もちゃんと決着つけて欲しいんだ」
「翔・・・うん、でも・・・」
「前に進むときだと思うからさ」
「うん、わかった、ありがとう」
「映は・・・俺もオフだし、こっちで面倒みるから、気にすんなよ!」
「里津さんにも迷惑掛けちゃうね、お礼言っておいて」
「よしっ!映!車で買い物行くぞ!里津おばちゃんも一緒だぞ!」
「ブーブー!!」

気温の変化を考慮しペンギン模様のパーカーを手にして
映を抱えるようにして部屋から翔るは出て行った。
少し牽制するような眼差しを俺に向けて・・・。

「正直、驚いたよ、石川が映くんを抱っこして現れたから」
「彼、幼馴染なの、中学まで同じ学校だったの。
映が・・・生まれる前から助けてくれてね。
実家には頼れなかったから」
「そうなんだ・・・」
「生まれてからもずっと何かと里津さんと翔も、
里津さんの旦那さん・・・翔のお父さんね・・・助けてくれていて・・・」
「あっちが住まいなのか?」
「うん、母屋が・・・家主でね。
こっちは昔、翔のおじいちゃん達が住んでいたんだって」
「だから、所々に手すりが付いていたり
スロープになっていたりしているのか・・・?」
「そうなのよ・・・」

お茶を淹れ直して戻ってきた和華子は座った。
しかし、先ほどとは違い向かい側ではなくテーブルの角に沿って
より近くに座った。
俺は視線を彼女に合わせて静かに話しかけた。
彼女が口を開くより先に・・・・。
映を見かけたときから、いや、保育園の前で抱き上げたときに確信した。
きっと・・・間違っていない。
だから彼女の言葉が発せられる前に聞きたかった。

「映は・・・俺の子だろう?」と。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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