2017 / 08
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Page.78

放課後の図書室は薄暗く、ヒロちゃん達のいる昇降口からは
光の加減でそこに人が立っていることは確認できない。
東野先輩はまだ私の手を握ったままで・・・・。
近づきすぎて、制汗剤のシトラス系の香りに眩暈がしそうだった。


「アイツのあんな表情見たことない・・・余程心配なんだな」
「えっ?」
思わず伸び上がって小窓から覗こうとした東野先輩は、
私の頭を押さえ込むようにして自分の胸元にぴったりとくっ付けた。
「君のおでこのピン留めが光って見えるといけないから・・・・ちょっと待って」
「ごめんなさい・・・・」
「謝ることないよ。それに彼らのお陰でこんな風に近づけたからイイよ」
「先輩・・・?」
ふと見上げた東野先輩の顔は少し照れ笑いをしていた。


暫くして昇降口の話し声も聞こえなくなった。
ヒロちゃん達は校舎から出て行ったらしい。
私は音楽室へ戻るつもりで図書室から出ようとした。
「じゃぁ、先輩・・・私はこれで部活に戻らないといけないので・・・ここで失礼します」
「そう・・・そっか・・・そうだよね。俺も練習に戻らなくちゃいけないし」
「あの・・・えっとぉ・・・なんか変な言い方になってしまうんですが、
あの・・・さっきのことありがとうございます」
「いや、いいよ。俺の方こそ・・・・ありがとう」
「先輩・・・私、嬉しかったです。
自分を認めてくれたというか・・・・そんな感じで。なんか私・・・・変で・・・・」
言い終わらないうちに再び先輩の胸の中に自分がいることに気が付くまで数秒掛かった。

「俺は来年の3月でここを卒業をしてしまう。焦っていないけど、君を急かすつもりはないけど
『気になる人』以上に早くなりたいよ。返事はゆっくりで良いよ」
「・・・・・・・・・」
「君自身が嫌悪してしまうことも全部さらけ出して欲しい
全部、好きだから・・・・ずっと前から好きだったから」
「いつから・・・・ですか?」
「君が小1の集団登校の頃からかな・・・
あの頃半ばお母さんに引っ張られるように登校していたよね?」
「あぁ、そうです。あのよくお世話をしてくれた?小2の男の子?」
「そう、あれ・・・俺。やっと気が付いてくれたんだね。良かったよ・・・」
そう言いながら私のおでこにあるピン留めを人差し指でクルクルといじり、
そのまま髪を梳いて私の首の後ろに手を顔を上向かせた。
一瞬「キスされちゃうのかな?」という考えが頭を過り、思わず目をギュッと瞑った。

東野先輩はそっと私のおでこに唇を寄せながら・・・・
「おまじない。早く君が俺を気になる人以上の存在になれるように」と、そう呟いた。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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