2017 / 05
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「愛ちゃん、気分悪いの?保健室行く?って言っても夏休み中だから養護の先生いないよね?
部活、午後は休む?大丈夫?ねぇ、愛ちゃん?」
小学校1年生の時と同じように必死に私を気遣うヒロちゃん。
その場の雰囲気が沈みこんでいくようで。
それに構わず、西君はヒロちゃんの持ち物をさっさと片付けて「北山、あとは先輩に・・・」と言い
状況を把握していないヒロちゃんを半ば強引に教室から連れ出してしまった。


教室には、東野先輩と俯いたままの私だけで・・・・
エアコンの機械的な音が静かに教室に響いているだけだった。
「どうした?明日のことで緊張しているのか?
それと・・・妙なこと考えていたんだろう?」
「・・・・・・・・」
「言い当ててあげようか?」
「・・・・・・明日のことは緊張しています、それだけです・・・・」
「ふうん、それだけかな?愛子ちゃん?」
俯いて髪の毛が顔に掛かっているのを、先輩は私の左耳に掛けるように髪を梳いた。
その仕草にちょっとびっくりして顔を上げたら、目の前に優しく微笑む先輩がいた。
「・・・・・先輩」
「愛子ちゃん、2人でいる時は出来れば名前で呼んで欲しい・・・・」
「彰典・・・・先輩・・・・でイイですか?」
「いいよ、ちょっと待って、また俯かないで、もう一つの理由は?」
「言わなくちゃいけませんか?」
「うん!聞きたいっ!是非聞きたいな~~」
そう答える彰典先輩は明らかに理由をわかっていて、私の口から言わせたい確信犯的な笑顔があった。

「ヒロちゃんが持って来たゼリーを美味しいって言う、彰典先輩が嬉しそうで・・・・
私が作ったものじゃないのになんだか嬉しそうで・・・・おかしな話なんですけれど
またヒロちゃんの嫉妬しちゃって・・・」
「やっぱりね、愛子ちゃんはすぐに顔に出るからわかりやすいよ」
「こんな自分・・・・ダメです」
「ダメじゃないよ、俺のことを想っているから北山さんにそういう気持ちを抱くのもわかるよ」
「そうなんですか?」
「俺だって、こないだ校門のところで・・・・
君が3年のオケ部の男子と話しているだけで殴りかかりそうになったくらいだから」
「あれは・・・違います・・・・部活のことで話していて・・・・
でもあの時、ヒロちゃんと一緒に彰典先輩が西君に羽交い絞めになっているのを
見ていましたが、そんなことになっているとは思いませんでした・・・・」
「お互いを想っていれば・・・・そう感じるものだろう?」
そう言われて恥ずかしくなって私は思わず俯こうとしたが、
そのまえに彰典先輩に顎を下から掬い上げられるように捉えられてしまった。
「自惚れてもイイかな?
愛子ちゃんはあれから俺を『気になる人以上』として見ていてくれていると思っていいのかな?」
「はい・・・・」

彰典先輩の言葉が魔法のように私の心を素直にさせてしまった。
私の返事を聞いた彼は一瞬眼を細めた。
そして眩しいものを見るような顔をして、顎を捉えたまま私の頬にそっと唇を寄せた。
囁くように「好きだ」と言いそのまま顔を少しずらして触れるような口づけをした。
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紫苑あかね

Author:紫苑あかね
恋する人たちの切ない想いを描いています。

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